ある大学院生の日記

2002年02月26日(火) Happy Birthday!

MCPFといえば,内閣府から政策効果分析レポートというのが出てて,そのなかに,「1990年代における所得税制改正の効果について」というのがある.タイトルどおりの中身なのだが,そのなかで,1995年の減税政策が超過負担をどれほど減らしたか,という推計をしている.結果は,オドロクなかれ,5.4兆円の減税をして超過負担が1200億円あまり減った,というものだった.逆に考えれば,1兆円増税しても超過負担は240億円くらいしか増えないわけだ.Feldstein, Martin [1999] "Tax avoidance and the deadweight loss of the income tax", Review of Economics and Statistics, 81(4), 674-680 はアメリカについては1ドルの税金を集めるのに2ドル以上の超過負担が発生する,と推計しているから,えらい違いである.ほとんどまったく同じ方法で行っている(ひとはこれをパクリと呼ぶかもしれないが,ぼくもパクリしかできない)のだから,こりゃいったいなんなんだてなもんである.もらえるものに関わらず,日本人というのは働く量がかわらないのだろうか?絶対的に超過負担の量がどうだ,ということはさしあたり言えない(こともないが)が,アメリカよりかなり低い,ということは確かのようだ.さしあたりいえないにしても,税が増えても超過負担があまり発生しないとすれば,「高齢化が進んで税負担が増えると経済活力が失われる」なあんてことはほとんどその実証的根拠を持たなくなるわけだ.林正義先生赤井伸郎先生の分析でも超過負担はたいして大きく出なかったところを見ると,ほんとに日本では所得税による超過負担というのは小さいものなのかもしれない.それを勤勉とみるか,「お上のやることは…」という諦めの現われとみるかはよくわからないところではあるのだが.

とはいうものの,Asano, Seki [1997] "Joint allocation of leisure and consumption commodities: A Japanese extended consumer demand system 1979-1990", Japanese Economic Review, 48(1), 65-80 では,余暇需要の価格弾力性,つまり手取りの賃金の変動に対する労働時間の変化の大きさはかなり高めに推定されているのであるよなあ.ううむ.

というわけで,piece-wise regressionというものに詳しい方,ぜひご一報ください.


27歳になりました.


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