日々雑感
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2004年07月03日(土) 祭りの灯り

週末は街のお祭り。夕方、友人たちとビールを飲んで別れ、ひとりになったあと、帰りがたくてもう一度街の中へ戻る。外はまだまだ明るい。

ここにこんなに大勢の人が住んでいたのかと驚くくらいの人出だ。教会ではゴスペル、広場の特設ステージではロック、そして橋の上では鮮やかな緑色の衣装を着た人たちが太鼓や鳴り物を手にサンバ。サンバのグループの周りには一際大きな輪ができており、小さな男の子を肩車した父親からそろって白髪の御夫妻まで、リズムに合わせて踊る人あり、叫ぶ人あり、大喜びだ。

橋の上にて日が暮れてゆく。ぎっしりと並んだ屋台の灯りが川面に映る。屋台からもれるオレンジ色の灯りの中を、親しい人たちといっしょに、ビールやワインをひっかけながら行き交う人びとの無数の影。ざわめき。いずれ終わってしまうことを何処かで予感しながらも、お祭りの空気の中で、誰も彼も幸せそうな表情をする。ひとり歩きながら、今、自分はほんとうにきれいなものを見ていると、しみじみと思った。それともあれは、サンバの熱気の余韻だったか。

帰り道、前には腕を組んで家路につく老夫婦の姿あり。もう片方の手には屋台で買ったのであろうお菓子の紙袋が握られている。お祭りからの帰り道は苦手だ。綿菓子と金魚の入った袋を大事に持ち、満足そうな、それでいて神妙な顔をして家へと向かう小さい頃の弟の姿を決まって思い出してしまうのだ。思い出して、そして今でもかなしくなる。七月は地元の町でもお祭りの季節である。


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