日々雑感
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母帰る。小雨降る中、中央駅発のエアポートバスに乗り込み、空港まで。いつもはひっきりなしに喋っている母が、窓の外の景色を眺めたまま口を開かない。何かやさしい言葉でもかけられたらよいものの、こちらも思わず無口になる。
チェックインを済ませ、お茶を飲み、搭乗口にて見送ったあと、電車にて帰宅する。ひとりで戻った部屋には、あちこちに母が滞在していた名残りがある。忘れていった水色のスリッパ、歯磨き粉、お土産にと持ってきた緑茶にうどん、きれいに畳まれたタオル類。それに何よりも、さっきまでそこにいたという気配だ。いつか誰かと二度と会えなくなったとき、いちばん辛いのは、その人の気配を感じた瞬間かもしれないと思う。確かにそこにいたという痕跡はあるのに、本人はもういないと思い知らされたとき。
夕食、母が荷物として持ち込めなかったソーセージをひとり部屋にて焼く。美味しい。食べさせてあげたかった。
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