日々雑感
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2002年04月02日(火) カモメが飛ぶ空

秋田市内の教会へ行く。母親と叔母が通っていたカソリック系短大の初代学長であった先生が亡くなり、その追悼式が行われるのだ。

91歳で亡くなった先生は、二人にとって忘れられない人であるらしい。とても厳しく、学生を叱り付けることも多かったが「あんなに愛情深い人はいなかった」と母は言う。叔母の娘である従姉妹も、現在その短大に通っている。今日は学生たちが聖歌隊として参加。従姉妹もその中にいる。

教会での結婚式には何度か出席したが、追悼式は初めてだ。学生たちが歌うグレゴリオ聖歌にあわせて司祭が現れ、ゆっくりと式が進行していく。先生は「音楽によって神を賛美するのだ」といって、短大に音楽科を設けたという。そして何より、自分自身、音楽が大好きだったらしい。その彼女が、学生たちの奏でる音楽や歌声によって送られてゆく。「どんなにそのことを嬉しく思っておられることでしょう」という弔辞の言葉。参列した皆も声を合わせて歌う。

快晴。外に出るとカモメの声が聞こえる。見上げると、教会の屋根の上、青空を背景に真っ白なカモメが何羽も舞っている。ここは海が近いのだ。

出口ではイースターエッグを配っていて、従姉妹も青く塗られた卵を一個もらう。大事そうにハンカチに包んでカバンに入れていたが、道路でつまづいた拍子に割ってしまう。「かなりショック」といった表情。「帰ってからちゃんと直そう」と接着剤を買っている。

夕方、浜を歩く。日が傾くにつれて、天頂の青色は濃くなってゆく。低い海鳴りの通奏低音。それにいろんなリズムで波の砕ける音が重なる。そして、時折混じるカモメの声。ここにもカモメが飛んでいるのだ。カモメ、沈もうとする夕日に重なって影となる。


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