日々雑感
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夜はまだ寒いのでストーブをつけている。
テレビも音楽も消すと、ストーブの音だけが低く聞こえる。その音を聞いているとなぜだか落ち着く。小さい頃からそうだった。いつも、ストーブのすぐそばに転がってぼんやりとしていた。暖かい。
火のそばにいるという安心感なのだろうか。火や灯りや暖かさは、茫々と広がった世界に点々と散らばる道標のようだと思う。
朝日新聞の読書欄に、和田誠さんの『物語の旅』(フレーベル館)について書かれた久世光彦氏の書評が載っている。久世氏の書棚は<怖い本><白秋さん><二・二六>というようにジャンル別になっていて、その中に<幸福>というコーナーがあるのだという。そこにあるのは和田さんや川上弘美さんの本。
自分の本棚を考えてみる。<幸福>と呼べるかはわからないが、<とっておき>というコーナーはある。他に<しみじみ>とか<一気読み>とか<背伸び>とか。
「私も一冊ぐらい<幸福>の書棚に置かれるような本を遺したいと思う。」という久世氏の言葉に「うんうん」と頷く。「本を書く」に限らず、何にでも言えることだろう。誰かにとっての<幸福>という部分にそっと置いてもらえるような仕事ができたらいい。
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