日々雑感
DiaryINDEX|back|next
夕方。ものすごい夕焼け。空気まで夕日の色に染まっているみたいだ。ときどき、こんなふうに圧倒的な夕焼けを見る。
ある年の夏のことだ。地元では送り盆に海へ灯籠を流すのだが、その日の夕方も、灯籠が流される船着場まで歩いていった。中に入ったろうそくに火がつけられ、ぼうっと光る灯籠が次々と海へ放たれる。灯りの固まりは、くっついたり離れたりしながらゆっくりと水平線のほうへ向かってゆく。
一瞬、あたりの色が変わった。空も雲も海も、流れてゆく灯籠を眺める人たちも、みな夕日の色に染まっている。まるで、その時間そのものが夕日の色に浸されたかのようだ。その中を、灯籠の灯りだけがゆらゆらと流れてゆく。お経をよむ声が低く聞こえてくる。遠くで名前の知らない鳥が鳴いている。
ぼんやりと、この夕焼けのことはきっと忘れないだろうと思った。今日の夕焼けはどうだろう。いつか振り返って、この街の景色といっしょに思い出すだろうか。
スーパーでおはぎを買う。ゴマときなこを一個ずつ。夕飯の前にお茶を飲みながら2個とも食べてしまう。
|