日々雑感
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2002年03月16日(土) 迷子になる方法

日中、ずっと部屋の中で作業。煮詰まってくる。空気も悪い。気分転換に、午後遅くから外へ出る。大家さんの庭では桜草が満開だ。桜草やスミレやパンジー、花の色が鮮やかで目にしみる。

迷子になりそうな裏道をわざと選んで歩く。いつも通る商店街の横道を入っていくと、古い家やお店が並んだ細い通りが続いている。入り口の前に青と赤のぐるぐる回るやつ(何というのか)が置かれた床屋。商店街から外れたところにぽつんと一軒だけの八百屋。さらに行くと、鉢植えや植木に埋もれるようにして中華料理屋の入り口が見えた。暖簾には「幸楽」(こんなところに「渡る世間は鬼ばかり」が)。

迷子になろうと思っても、今はなかなか難しい。いつかは必ずどこかへ着くだろうという、開き直りに似た安心感があるからか。それとも、ほんとうに迷子になりそうな道は、無意識に避けて歩いているのか。

子どもの頃、親とはぐれると、それがよく知っているデパートや町でもほんとうに怖かった。「あ、いない」と思った瞬間に世界が一変した。ひとりぼっちで取り残されて、手をのばしても、つかまるところが何処にもないような感覚。だとすれば、大きくなるというのは、いろんな足場や「つかむ場所」を自分で見つけてゆくということか。

ぐるぐると一時間近く歩き回り、元の商店街に戻ってくる。安売りの野菜ジュースを買って帰宅。気分はすっきりしたが、作業の続きをしようと机の上にいろいろ広げたまま寝てしまう。散歩逆効果。


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