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■ 突然の別れ4
無理矢理手をつないでみても
彼の顔を見ても
私の大好きだった人はいなくて
その手が
ものすごく温度は熱かったのに
冷たくて冷たくて 血が通っていない人形のように思えた
それが余計に私を傷つけていた
「しんちゃん」
呼んでみても
「ハイ」
何もない返事
「もう私が何を言っても無理なのかな」
「んー・・・例えばそれが駄目だったから 優のところに戻るとか、そういう風に 利用する事は出来ないから」
利用なんて。
私はそれでもいいと思った
彼は
優と俺は似すぎているのかもしれないと言った。
相手の事を傷つけるのが怖くて 自分が嫌われるのが嫌で 自分に自信もないのに人の事が言えなくて
そうやってお互いを傷つける事が出来なくて
だから続いていたんじゃないかと。
私達は喧嘩をした事がなかった
結局それは私に甘えてしまう事になって それはもう自分が許せないと。
万が一戻ってもそれはまた そういう事に目をつぶる私に甘えてしまう事だと。
彼の事を最低だなんて
一度も思ったことはないのに。
困惑している表情の彼を見ていたら
また傷ついた。 同時に可哀想だ、私のせいだって思った。
だから
「そっか。しんちゃんの困った顔見るの 本当に辛い。こんな風に言ったら なんかすぐに吹っ切れたみたいで 嫌だけど、離れたくないしむちゃくちゃ嫌 だけど、わかった」
「でもさ」
「今日だけは私に時間を下さい」
本当は何もわからないのに。
ただ彼のそんな顔が辛くて。
そう言ってしまった。
川を眺めながら
何かを話したけどほとんど上の空で
家の近くまで帰る途中
私は彼の肩によりかかり
手を無理矢理つなぐ
また
涙が止まらなかった
殴ってもいいという
それで彼がすっきりするなんて 許せないから
私だけが取り残されるなんて 許せないから
でも
頬をつねってみた
強く
でも愛情を込めて
夜になりご飯を食べに 店に入る
おごるから
なんて なんの慰めにもならない
なんにも口に入らない その空気だけで
お腹は ううん、胸がいっぱいだった
店を出て
車に乗り込む前
「しんちゃん」
と呼んでみる
「はい」
今日何度かの呼びかけに対して
少し優しかったように聞こえた
だから
聞こえるか聞こえないかくらいの声で
「好き」
と言った
涙が溢れ出るのと同時だった
彼の顔が困っているより
すごく悲しそうに見えた
変だけど
ちょっと嬉しかった
彼を家まで送り届けた
「もう着いてしまうよ」
「うん」
どうしてそんな風に
普通にしていられるのか
言ったからすっきりしたの?
「ありがとう」
また泣きながら
つきあう事をOKした時と同じように
握手を求めた
握手してくれた手を離したくなかった
だけど
彼はすぐに車を出て行った
「気つけてな」
といいながら。
2005年09月07日(水)
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