2004年07月21日(水)/萌えるバーブル(序章)/中央アジア歴史群像 |
おひさしぶりです。しばらく経ってから見返してみたら、前回の読書感想文が妙に長いのでどうにも居心地が悪くなってきました。いつも長文気味ですが。 要は、「梅棹氏の文体は自分にとって萌えである」ということを述べたかったのです。いや、しかし、梅棹氏のあの素敵な文章をそういった一言で片付けてしまうのはあまりに惜しく、自分はあの文体がどのように好ましいと感じ、如何なるときめきを覚えたのかを是非皆さんにお伝えしたいと思い、ウキウキと記していたらあのような有様に。ああ暑苦しい。一方的に伝えられた皆さんにはとんだご迷惑でしたか。
それにしても、昨今は、一言シンプルに「萌え」と書きさえすれば、おのれの好感情を表現するのにある程度はそれで事足りてしまうので、とても便利な世の中になったと思います。しかし、あまり安易に萌えで済ませてばかりいると、今に大事なものを取りこぼしそうな感じもしますので、「萌え」はくれぐれも注意して取り扱おうと思います。萌え。ところで、文中にてこんなに萌えと書いたのは初めてですよ。最早、自分が使える一生分の量の萌えを言い尽くしてしまったのではあるまいか。萌え。まだ使えるみたいだ。萌え。
読書感想文: 中央アジア歴史群像 /加藤 九祚(著)/岩波書店
私の目当ては、モンゴル時代のイナルチクや、チムール(イナルチュク、ティムールと表記する文献もあります)に関する記述でしたが、他の人物に関する文章もそれぞれ面白く、なかなかの収穫でした。 この本で特筆すべきは、著者が意識的にロシア語の資料に依拠して文章を書いているということでしょう。ここでいうロシア語文献というのは、ソ連邦時代に中央アジア諸国で出版されたものを意味します。中央アジアと呼ばれる地域がかつてソビエト領であったころ、言語や生活習慣の異なるこの地方に、ロシア語という共通の言語でもって研究を行う環境が整い、現地の研究者によりだいぶ学問が進んだそうです。そうだったのか…。奥が深いですなあ。この本はそうした現地の研究者による中央アジアの姿を紹介するという目的を持っているようなので、あの辺りの地方に興味のある方にも有意義なものだと思います。ことに、4章「シルクロード文明の精華」では代表的な詩人を紹介し、中央アジア文学の一端に触れることもできます。
補足説明:
イナルチク チンギス・ハーンがホラズム国と通商を行おうと思って使者を送ったら、ホラズム領の都市オトラルの太守だった彼が、その使者をとっ捕まえた挙句に処刑してしまい、使者の生き残りがチンギス・ハーンの元に逃げ帰ってその事を伝えた為、ハーンは超激怒してホラズム攻めを行うことになってしまった。つまり、イナルチクがモンゴルのホラズム侵略のきっかけを作ってしまってホラズムの民大迷惑、というのが主な概略。とか思っていたら、彼は常々モンゴル帝国に対し脅威を覚えていたが、ホラズム王にはさっぱり危機感が無かったのでだんだん焦ってきたところ、ついにモンゴルから使者という名目のスパイがきてしまい、太守としての責を全うする為、ひいては自国の危機を知らしめるために使者殺害に及んだが、それは必ずしもホラズムにとって幸運な結果とはならなかった。みたいに書かれていました。あれ…?何だかかっこいいよ…? イナルチクのモンゴルの使者殺害の理由については諸説ありますが、ウズベキスタンの人にかかるとこんな風になるのですね。新鮮。そんな手があったか!(手?)色々な意味で応用が利きそうで参考になります。
チムール モンゴル系バルラス部族出身。戦にめっぽう強く負け知らずで、チャガタイ・ハン国の有力者となって中央アジアを支配したり、遠征を行ってどんどん領土を広げまくった。明朝を討つため中国遠征を試みるが、オトラルで病没。 詳しい説明はこちら
ひどく長くなったので、表題のバーブルについてはまた後ほど。
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