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こあらの見た風景(要はブログ)
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2003年08月02日(土) |
切符の有効期限と日付の変更の関係についての法律屋的考察 |
エンピツでMy登録をしている、ゆうさんからインスピレーションを頂いた本日のネタ。
題して「切符の有効期限と日付の変更の関係についての法律屋的考察」
つまり、「当日限り有効の切符をもって電車に乗っている間に
日付が変わってしまったらその切符は無効なの?」ということを
「規則」という観点から見てみましょうということ。
なお、本日のネタでの規則の条文は、JR東日本の旅客営業規則から
引用いたします。また、定期券は「定期乗車券」ですので、
基本的な扱いは自動切符販売機で売られている切符と同じです。
まずは、切符の有効期限の規定の話をする必要があります。
切符の有効期限は距離に応じて定められており、
自動販売機で売られている普通乗車券の大半は
1日有効の切符です(第154条)。
有効期限の計算は、民法の原則からすれば、「2日午前10時」に
購入した1日有効の切符は「3日午前9時59分(これも正確ではないけど)」
まで有効ですが、この点は規則で、「1日午前10時」に購入した
1日有効の切符の期限を「3日午前0時の直前」までとしています。
(第9条)
では、実際の検討に入りますが、ここからは説明のため
「3日午前0時15分(2日夜の続き)発の電車Aに乗る」ことを
例として話を進めます。すると、検討するべき事例としては、
以下の三つが考えられます。
1)3日午前0時5分に切符を購入し、電車に乗る。
2)2日午後11時50分に切符を購入して、2日午後11時55分に改札を通過して、電車に乗る。
3)2日午後11時50分に切符を購入して、3日午前0時5分に改札を通過… できる?
では、それぞれに検討してみましょう。
1)3日午前0時5分に切符を購入し、電車に乗る。
切符購入日と電車に乗る日が一致しているので問題はありません。
2)2日午後11時50分に切符を購入して、
2日午後11時55分に改札を通過して、電車に乗る。
改札通過後、3日午前0時をもって有効期限が切れます。しかし、
「改札通過後に有効期限が切れても、途中下車しないのならその切符に
書かれている駅までは乗っていてもよい」(第155条)との規則が
あるため、有効期限切れでも目的地までは乗ることができます。
3)2日午後11時50分に切符を購入して、3日午前0時5分に改札を通過…できる?
これは通過できなきゃおかしいです。そうしないと、
午後11時59分に購入した場合、1分未満の時間で改札を
通過しなくてはならないことになります(笑)
しかし、この状況について何らかの条項を探し出すことは、
私にはできませんでした。あくまでも私の想像ですが、
たぶん決められないのでしょう。
例えば、「午後11時以降に購入された切符は、その駅の最終
電車の運行が終了するまで有効である」との規則があったとします。
そして、駅の近くでイベントがあり、「お帰りの祭は改札が混雑
しますのであらかじめ切符を購入してください」と案内をして、
2日午後3時に切符を購入しておいた人がいたとします。
この場合、前に定めた規則があると、3日の午前0時5分に、
2日午後3時に購入した切符で改札を通過しようとしても、
通過できなくなってしまいます。
やはりおかしいでしょ?確かに日付は違うけど、感覚的には
「2日の続き」だから、2日に買った切符で3日の夜中に乗れな
いのは常識に反すると思われます。つまり、切符の購入時間などで
区切ろうとすると、常識との矛盾を生じてしまうのです。
だから規則にはない。
この件の解決には、規則本体ではなく運用ルールとして各職場に
「規則に形式上違反する場合でも、社員の判断により改札を通過させ
ることを認める」と通達を出すことだろうと思います。実際に確認
したわけではありませんが、一応会社規則を管理する部署に勤めて
いる人間として、感覚は間違っていないでしょう。
こんなわけで、電車が24時間運行になっても大丈夫ですよ。