Opportunity knocks
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私の住んでいるマンションの管理人さんが突然亡くなった。 心臓の発作だったそうだ。
仮通夜にいってきた。 気が滅入った。
御夫婦一緒に、住みこみで管理人の仕事をしていた。 親しい付き合いというわけでもなかったけど、 少なくとも顔をみれば笑顔で挨拶をしていた。 つい先週も、一言二言世間話をしたばかりだった。
死に顔を見てやってください、と管理人さんの奥さんが言った。
わたしは管理人さんの顔をみることができなかった。
一昨年亡くなった自分の父親のこと、 もう2度と人の死に顔なんかみたくないと思ったことを思い出した。
一緒に通夜にいった友達が、綺麗な死に顔だったよ、と言った。
わたしはいつも苦痛のはてに力尽きた父親の、 哀れなくらい悲しい死に顔を思い出す。 夢にまで見る。 何も見ていないガラス玉のような目や、 半開きになった口元。 ただの有機物の固まりになってしまった父のすがた。
もう二度と人の死に顔なんかみたくない。
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