TOI,TOI,TOI!
バンベルク響HPの記事 ↑べネズエラのグスタヴォ君が優勝しました。わあい! 受賞者コンサートも、本当楽しかった!
勘違いしていて前回の日記にも間違ったことを書いてしまったけど、 絶対最後まで残る、と思ってたヒゲ紳士はブルガリア人でなくてポーランド人。つまり2次でおっこってしまった。 でもその人は現代曲の解釈に対する特別賞をもらっていた。
最終審査はグスタヴォ君とブルガリア人の人。 このブルガリア人の人はイヴォと言って、オーケストラ側には全然人気がなかった。私もダメ。
この人の指揮はまず一言で言うと変わっていた。 ちょっとバレーのような感じ。振り付けのような指揮。 ちなみにこの人は全部暗譜でやった。 現代曲、シューベルトの5番、マーラーの歌曲、そしてマーラーの5番、全て暗譜。このインパクトは確かに強烈だった。
私の想像。この人はきっと家で全て一人で完璧に曲を作り上げてきたんだと思う。鏡の前で何千回と練習したことだろう。 だからProbe(リハ)はProbeではなく、ただただ彼の作り上げてきた作品についての説明を聞かされるだけ。音を出す前から長々と「ああしちゃだめこうしちゃだめ」という説明を聞かされるのには団員はイライラした。まだなにも悪いことしちゃいないのに前もって説教されてるような気持ち。 イメージと違った音が出た場合に「違う」と言うときの彼の顔は露骨に嫌そうだった。
グスタヴォ君はちゃんとProbeをした。バンベルク響の出す音にいちいち「WOW」と感激しながら、でもオーケストラの出した音に対して、基本的なProbeをちゃんとやった。合ってないところが合うようにゆっくり練習したり、管の音程がハモってなければちゃんと指摘したり、と基本中の基本をちゃんとやった。
この1位と2位の差は、Probeができるかどうかで判断したと思う。 グスタヴォ君は、最後の最後までオーケストラの出した音をまとめ上げていく作業をした。オーケストラの出した音を聞いた上で判断し、私たちと一緒になって音楽作りをしたと思う。 一方のイヴォ君はその場でその瞬間に鳴っている音をちゃんと聞いているかどうか怪しかった。彼の音楽は彼の世界で、彼の中で勝手に流れているんじゃないかと思ったりした。
あるチェリストは「将来性という点で、もっといくらでも成長しそうなのはグスタヴォで、イヴォはあの独特のカラーがすでに完成されていると言う点ではすごいけど、この先グンと成長するかと言う点では分からないな」と言っていた。
なーんてえらそうなこと言ってるけど、これって言うほど簡単なことじゃないのは分かっている。だってコンクールだもん。イヴォ君はただ完璧に準備したかっただけなのだ。 日本人の松沼さんは、 「オケがうますぎ!」 と言っていた。たしかに。指揮者コンクールはもっと下手なオケのほうが指揮者としてはやりやすいんだろうな。直すところがいっぱいあって。
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