TOI,TOI,TOI!
ミュンヘンでオーディションを受けてきた。 バイエルン放送響の、オーケスターアカデミー生の募集。 結果は、×。 一次通過を目指していたが、それもかなわず。 やはりオーディションで選ばれるということは、そんなに簡単なことではないと、身にしみて感じてきた。 ほぼどこのオケでも、一次の課題曲はモーツァルト。 これを、たくさんの人に認めてもらえる演奏をするのは、 ものすごく難しい。やっぱりめちゃくちゃ難しい。
何かを意識して、それをやりすぎてはいけない。 何かを意識して、ほかの何かが足りなくなってもだめ。 バランスが大事。 だからといって、注意深く地味な演奏をしても、選んではもらえない。
終わったあとに、自分がなぜ選ばれなかったのか、 審査員(=オケの団員)の人に聞くことができるんだけど、 ためになることを具体的に言ってもらったので、 弾いた甲斐があった、やってよかった、と思った。 自分の先生だけではなく、ほかのいろんな人から客観的な意見を聞ける機会というのも、大事なんだなと感じた。
まず、首席の男の人とたくさん話したあと、もう一人女の人が来てくれて二人でそれぞれ意見を言ってくれた。 お礼を言って帰ろうとしたら、また別の女性の方が私の名前を呼びながら通路を追いかけて来てくれたのには驚いた。この方もたくさん意見を言ってくださった。 首席の人は、まず一言目に、「君の演奏は私の好みだ」と言ってくれたので、嬉しくなってニヤけた。女の人も、楽しんでいるのがいい、と言ってくれた。 その拍、その小節、その音、を何か意識して何かやったことによって、全体の流れを壊してはいけない。これを3人からいろんな言い方で指摘された。 問題点は、ほかにもいっぱい。趣味の問題も含めて、ためになる助言をいくつももらえた。
翌日、ミュンヘンフィルの公開ゲネプロを聞いた。 あらためて、このレベルと自分との距離をしっかりと感じた。 弦も管も、一人残らず全員が、何年前とか何十年前とかにオーディションを受けて、大勢の中から選ばれた人達なんだと、 そんなことを考えたりした。 すごく普通にやってるように見えるけど、出てくる音は普通じゃなく素晴らしい。
Nという人が身近な存在すぎて、よく分かってなかったかもしれない。今まで。 ちゃんと現実を見ながら、残りの学生生活の限られた時間を使ってやれるだけやってみよう、と思う。 就職活動は、そのあとで集中的にやろう。今はそういう心境。
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