シネマ*マシンガン
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2005年02月20日(日) |
【愛の嵐】サスペンダーより缶詰 |
やっぱ愛の嵐つったら、シャーロット・ランプリングのナニですよ。 制帽に長手袋に裸サスペンダーね。 タバコをくゆらせながらその姿体をねちっこく眺めるSSの高官たち。 ダーク・ボガードの威圧的な腕が伸びてきて。 あーいやいや。 などと思ってこの映画を見始めると、それは誤解なんだと気づくでしょう。
邦題こそ「愛の嵐」ですが、もとは「IL PORTIERE DI NOTTE」夜勤のフロント係。 ダーク・ボガード扮するマックスの職業のこと。ナチ狩りを恐れて目立たない仕事、目立たない生活に身をやつしているわけです。そこを考慮に入れないと、邦題の「嵐」の荒れ具合がうまく伝わってこない。
扇情的な回顧シーンは前半のみで、後半はむしろいい年こいた男女が、落ちるしかない穴にずぶずぶと落ち込んで行く実にフランス映画的展開を見せるわけです。ライフラインを断たれてまで愛(なんだか何なんだかどーでもいいという気にさえなってくる)を貪り合う姿こそまさしくソーゼツな「愛の嵐」であります。やるせないラストシーンは、しかしこれ以外ありえないよなーと思ってしまうものでもあった。
この映画で食事のシーンというと、ほとんどまともなものを食べていない。ジャムを瓶からこそげとったり、缶詰を床の上で手づかみで食べたり。しかしこれがエロいんだ。裸サスペンダーの何倍も「あらわ」なシーンです。
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