skajaの日記
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「秘密」東野圭吾 M氏の本棚から借りました。 母娘が交通事故に遭って、娘だけが助かった…と思ったら娘の身体の中に生きていてのは「母」の方だった、というお話。これって映画化されたんだっけ、覚えてないなぁ。 夫は「娘の中に生きているのは自分の妻だ」と認めていて、彼は妻に対して誠実であるからこそ浮気もできない、学生である「妻」の学校生活や淡い恋が妬ましくて彼女が信じられなくなっていく、という息苦しい過程が丁寧に書かれていてました。 彼がとった行動は執念深くて嫌だけど。確かに彼はある意味ひたすら真面目で誠実なのだ。 バス事故を起こした運転手の家族の話が間に織り込まれていて、それが上手く本編につながってるなぁと思いました。
「火車」宮部みゆき これもM氏の本棚から。これまたちょっと驚きの展開でした。行方不明者を探すのかと思ったら違う人が出てきちゃったからね。後で気づいたんだけど、私偶然にも「秘密」「火車」と「実は違う人に入れ替わっている」話を連続して読んだんだわ。こっちは力ずくで本人を消して「身分を乗っ取る」話だから結局ほころびが出てしまったけど。(そういえば「理由」も「他人に摩り替わる」お話だった。) とにかく消費しろと急き立てる「カード社会」の恐ろしさ。みんな気づかぬ振りをして生活をおくっているけど、一歩間違えばカード地獄・ローン地獄で人生を狂わせることになるということが繰り返しが語られてました。実際に持っているお金はないのに、カードが使えるから「持っている」と錯覚してしまう。きっかけはあまりにもお手軽で危機感がないの。簡単にカードが作れたから。ローンでも購入を勧められたから。うっかりクレジットでキャッシングをしてしまったから。そこで立ち止まったり計算することを考えない。煽られるまま疑いもなくひたすら消費する。破綻するまで。 「特別お金にだらしないのではなく、真面目で小心者のだからこそ自己破産をする」のだそうです。 最後まで読んでもその感覚は私にはわからなかったけど、この小説が書かれて10年以上たった今は「カードの恐ろしさを認識する人」よりも「実態のないお金を浪費する人」の方がますます増えているのかもしれない。今クレジット機能付きのカードがバカみたいに増えてるもの。一時期、レンタルビデオ店でも会員カードを更新するたびにクレジット機能付きにしませんかとしつこく勧められたよね、とか思い出してしまったわ。 やっぱり感覚が麻痺するような世の中になってきてるよなーとは思う。
skaja

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