水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2004年03月06日(土) 乃南アサ『泥眼』

泥眼(でいがん) とは、能面のひとつで、元は人間の存在を超えた菩薩だったものが、
能の歴史と共に女の生霊を表す面となったもので、、と説明しても、どんな面なのか
よくわからないですよね。なので、こちらを。女面(怨霊系)でお会いできます。
泥の眼といっても、眼には金が使われるとは驚きです。この面をつけて舞う姿を、
文字だけでキリキリ伝える乃南アサ、素晴らしい!

ストーリーは、とってもシンプル。面打ちにプライドを持つ面打師に泥眼を依頼した
日本舞踊家が、妥協を許さない厳しさで面に注文をつけていきます。

乃南アサがじわっと描く日常の恐怖も巧いなあと思いますけど、研ぎ澄まされた
能面打ちや踊りの世界を見せてくれるのも巧いですねぇ。
ミステリーアンソロジー「蒼迷宮」(祥伝社文庫)の中で、他の作品とは違う恐ろしさ
が際立って、いい感じ。

ええ、ホント。乃南アサの文学的鉱脈の幅広さを感じました。


水野はるか |MAIL
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