水野の図書室
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2003年11月04日(火) |
田辺聖子『男たちはマフィンが嫌い』 |
どことなく、森瑤子の非日常的セレブ恋愛小説の匂いがします。 田辺聖子も別荘小説を書くんですね。
恋人の別荘で、彼が来るのをひとり待つ女。仕事に追われる彼は予定が たたず、別荘に用心棒として甥の大学生を行かせたら──。
森瑤子お得意のラブ・フィールドを思わせます。 しかーし、森瑤子と田辺聖子に決定的な違いが!それは一目で明らか。
森瑤子の描く恋人は・・「愛してるよ」と薄い唇で囁く。 田辺聖子の方は・・「好きやねん、愛してるデ」とぼてっとした唇で甘えてくる。 唇ひとつで、それぞれの恋人をすぐ浮かべられるなんて面白いです。 唇って重要なパーツなんですねー。
主人公、ミミにもっと妖艶さがほしかったような・・大学生にもっとピュアな ところを期待してたような・・うーん、どうもすっきりしません。 ふたりの会話がありきたりすぎて、ちょっと残念。 別荘は、一般の読者にとって、特別な場所、異次元空間なんですよ。 つまり、別荘での男女の会話は、120%別荘バージョンにしてほしいところ。 庭の大理石像、手にはカンパリなど別荘アイテムがいろいろ出てくるのに、 別荘にいる感じがしないのは、なぜ? わたしにとっては、別荘=森瑤子のイメージが強すぎるのかもしれません。
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