水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2003年11月01日(土) |
田辺聖子『いけどられて』 |
離婚を決めた夫婦の最後の1日って、どんな感じなんでしょ・・。 愛し合ったふたりだから、憎みあったり罵りあったり、なんてイヤだけど、 笑顔で握手も不自然だし、あいさつくらいはきちんとするべきだろうし・・。 家具とかはどうやって分けたらいいのか・・考えるだけで疲れます。
短編集「ジョゼと虎と魚たち」(角川文庫)第六話は、ある夫婦の最後の日。 夫の浮気相手が妊娠→結婚をせまる女の子→妻に詫びて離婚を頼む夫 と、こういうケースは世間ではありそうですが、小説では意外に少ないんです。
たいていは、夫は自分の社会的立場を考え、浮気相手を……します。 もしくは、夫の窮地を知った妻が、安定した家庭を守るために、浮気相手を 呼び出し、夫と別れてと頼むのですが、若い(はお約束)女の礼儀知らずな 態度にカッとなり……。西日が射す取調室で「殺すつもりはなかったんです」 とさめざめと泣くことになります。ミステリなら、このパターンですね。
『いけどられて』の妻は、物わかりが良すぎるというか、夫の情けなさに 母性愛を刺激されたのか、夫にとっては好都合なありがたい妻です。 こんなに優しい奥さん、他にいませんよ〜。考え直した方がいいって、夫!
それにしても、『いけどられて』って・・・。 なんとなく、、、、、、、、ほら、、、その、、、・・・・アダルトチックぅ。
鷺沢萠『ほんとうの夏』(「君はこの国を好きか」新潮文庫収録、2002.1.6記) のタイトルが、当初『もっと、もっと』だったことを思い出しました。やん。
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