水野の図書室
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2003年10月31日(金) 田辺聖子『荷造りはもうすませて』

これは、少々ややこしい人間関係です。
元妻が再婚に破れて、義母と子供たちが暮らす家に戻ってきた時、新しい妻と
別世帯で新しい生活を始めていた男は──。

結婚生活を大切にしてくれる夫に感謝しつつも、元妻と子供たちに会いに行く
夫にやり場のない寂しさむなしさを感じる妻・・つ、つらすぎます〜。

わたしなら耐えられません・・たぶん。
なんだか取り残されたような妻の気持ちがわかるような気がします。
子供たちにとっては、父であり母であり・・本来の家族なんですから。
家族が揃う姿を外から想像する妻は、妻であっても比重は愛人みたいで、
婚姻届の紙切れ一枚でつながれた、あやうい存在。

結構重いテーマを関西弁の会話が救ってくれてます。普段使わない言葉で
読むと、ワンクッションおいた感じで。ということは、関西弁の人にとっては、
他人事とは思えない、身にぎゅんぎゅん迫るものがあるかもしれません。

そうそう、荷造り、って意味深ですよね。
『お茶があつくてのめません』的な、肩の力を抜いたタイトルセンスの良さは
田辺聖子の魅力のひとつと受け止めてます。


水野はるか |MAIL
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