ひとりカーニバル
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手紙・はがきの文例を見ていた。その中に
「大いに飲んで話をしましょう」
という文がある。「ていねいなお手紙ありがとう」「心から御礼を申し上げます」などの文と同じく達筆で書かれている一文だが、やっぱりこの場合飲むと言えば酒のことなのだろうか。
しかしその模範的で上品な文例に囲まれていると、もしかして酒ではないのでは、という気がしてくる。そもそも本格的に酒を飲もうと考えている人が、手紙にこのような文を書くだろうか。それならば「大いに飲みましょう」とシンプルにした方がまだしっくりくると思う。
ならば何を飲むというのだ、ということだが、私はこれをトマトジュースとして仮定してみた。
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農家の集い、”豊作を願う会”が主催する会合。今回のテーマはトマトジュースだ。各々が自家製トマトで作ったトマトジュースを持ち寄り、それを皆で味わう。そして語り合う。
「俺は完熟を使った」 「私はミニトマトを使いました」 「ワシのは塩分不使用じゃよ」
トマトジュースの魅力、ジュースにする過程の各自のこだわりなどを熱く語る。
「イッキ!イッキ!イッキ!」
沸き起こるイッキコール。アルコールは皆無なので、 酒では急性アルコール中毒が危ぶまれるイッキ飲みも、全く問題がない。
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