ひとりカーニバル
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夕食に、うさぎさんリンゴを出してみた。
子どものお弁当に登場する、うさぎさんリンゴ。そのキュートな出で立ちと色彩は、普段の食卓に出すことによって何の変哲もないリンゴを食卓の華へと昇華させる。
うさぎさんリンゴは、意外に難しい。一切れ分が大きかったり、皮を薄くむこうとすると失敗することが多い。慣れないうちは、耳を浮かせるための皮むきを自分が無理なく出来る程度のリンゴの大きさにしてするとよいだろう。
次々と作り出されていく、うさぎさんリンゴ。基本もそこそこにすぐ応用に走ろうとするわたしの創作意欲は、やはり正統派だけでは物足りなかった。ユニコーンだ、ユニコーンを作ろう――。
何の事は無い、ウサギの耳がひとつになっただけなのだが、わたしの中ではすでにユニコーンとウサギは一緒に戯れていた。
気高いユニコーンは一匹がふさわしいと、言いわけもそこそこに次に考え出されるは”顔シリーズ”。包丁で切り込みを入れ、目と口の部分だけ残してあとは皮をむいく。ハロウィンのかぼちゃの細工がヒント。むろんあの乱杭歯を再現するには至らなかったが、そもそもリンゴで恐がらす必要もない。
一体目は目と口だけ。二体目は変化をもたして髪をつけてみた。一体目はそうするとハゲに見えるのだからたまらない。しかもその髪の部分を、何の気なしにうさぎさんの耳のように皮を浮かしてみたところ、途中変色するといけないと思い浸した食塩水がもとで、皮が反り返り、ムースをつけたように髪に動きがついてしまった。なんて今時。反り返りすぎて皮の赤い色が見えず、一体目と同じくハゲに見える。
他、ウィンクさせてみたり、ひげをつけてみたりとやりたい放題。
(うさうさ) そんな声が聞こえてきそうな、かわいいうさぎさんリンゴのとなりで 「サクセス使った?」 「もうアデランスしか」 「う〜ん、マンダム」 人面リンゴの会話が生々しく響く。
食べるのがもったいないというか、もはや食べたくない。
「楽しいか・・・?」 苦労してつくったわりに家族の反応が冷たいのが、さらに追い討ちをかける。
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