Wanderings / 千津
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 2002年07月24日(水) 狭い世界 

彼と友人と3人で近所の店に夕食を摂りにいった。店内はボックスごとに区切られていて、他の客の様子とかはほとんどわからないつくりになっている。私達は通路の近くに座ったので、何組かの客が帰るところを見ることが出来た。そのなかの1人に、私が辞めた高校の制服を着た女の子が居た。多分もう夏休みは始っているだろうから、彼女がその時間に制服のままでいるのは何らかの理由があってのことなのだろうと思う。彼女は、大きな高級車に乗り込み、両親と一緒に帰っていった。

数年前の自分を見ているようだった。
学校のブランドを誇示する制服が自分を守る防具だと思っていて、親が高級車を持っている事は当たり前で、その生活レベルは決して豊かではないけれど落ちぶれてもいないと思っていて、学校という檻の中で品良く楽しく振る舞い、有名大に進学するであろう、と、自分と自分を取り巻く環境を盲目的に信じている。上には上がいることは承知しているけれど、私たちにはそれなりの人生が用意されている。

勉強の出来る賢い子ではあったけれど、それが故に世間の本質は見えていなかったと思う。彼女を守るものなんてとても脆いものでしかないのに。今の私も色々なものに守られている。けれど薄皮の中の選民意識は薄皮と一緒に捨ててきた。何も知らないのは幸せだけれど、外の世界からそれを見たとき、悲しく思われるだろう。


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