- 2005年10月28日(金) なんか無駄な気が
(あるところに書き込んだ内容に加筆した)
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「たばこ自販機 未成年封じ」
朝日新聞2005/10/28朝刊に↑のタイトルの記事が出ていました。
東京本社版トップです。
「専用ICカード 20歳以上に発行」
「08年までに全部切り替え」
「未成年者による喫煙の温床と批判されているたばこの自動販売機について、日本たばこ協会など業界3団体は27日、全国62万台(04年12月現在)すべてを08年末までに大人だけに発行されるカードがないと購入できない機種に切り換えると発表した。自販機によるたばこ販売は国内市場の5割を占めるが、未成年者の喫煙対策に業界として乗り出す。(太田匡彦)」
「(本文)
新しい自販機は、20歳以上の人だけに発行されるICチップ入りの非接触型カードを自販機にかざさないと、たばこが買えない仕組みになっている。来年度から地域ごとに自販機の交換とカードの発行を進め、段階的に全国に広める。
カードは1人1枚の発行で、日本たばこ協会に郵送で申し込み、無料で発行する方法になる見通し。コンビニエンスストアやたばこ屋などの店頭での申し込み受け付けも検討する。
申し込みには、パスポートや免許証など生年月日と本人確認ができる書類のコピーと、本人の顔写真が必要になる予定だ。他人に貸与しにくくするため、顔写真が印刷される。カードにはプリペイド方式の電子マネー機能もつく。
コンビニエンスストアやたばこ屋の店頭で買う場合は、カードは不要。同協会は『店頭では罰則規定がある未成年者喫煙禁止法が義務づけられており、身分証明書の提示を求めるなどして未成年者の購入は防げる』と説明している。
厚生労働省によると、喫煙経験のある高校3年男子の75.7%(00年度)が自販機でたばこを買っていた。未成年のたばこ購入の多くが自販機によるのが実態で、早急な対応が求められていた。
業界では02年4月から1年間にわたり千葉県八日市場市で、04年5月から鹿児島県の種子島で、それぞれ成人識別機能つきの自販機の導入実験を行ってきた。喫煙者の約70%がカードを取得し、喫煙による見成年者の補導件数が減るなどの効果があがったという。」
「(本文つづき)
深夜販売の解除検討
同協会は『新機種への置き換え後、未成年の購入防止に効果が認められれば、自主規制している深夜販売の制限を解除することも検討したい』としている。
新機種への切り替えやデータ管理システムなどの初期投資に800〜900億円かかる見込み。同協会と全国たばこ販売協同組合連合会、日本自動販売機工業会の3団体で分担する。」
(写真説明)
「(上)成人のみに発行されるICチップ搭載カード。これをかざさないと自販機でたばこの購入ができなくなる」
「(下)成人識別機能つき自販機のカード読み取り部分。ここにカードをかざし、たばこを購入する。」
本音を言えば、そんなことして「未成年に対する差別化」なんかいくらしても煙草そのものがなくなるわけではないし、こういう「対策」のせいでかえって「成年の喫煙」に対して甘くなってしまうのでは逆効果なのでは、という気もして落ち着きません。
現に「深夜販売の解除検討」とも書かれていて、明らかに「未成年者には売れないようにするから成人はもっと煙草を買え」と言っているように見えます。
今ごろになって煙草の販売促進するとはいったいどういうことなんだろう、ととても不思議、というか違和感を覚えます。
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もっと言えば、記事には「喫煙による未成年者の補導件数が減った」と書いてあるけれど、それはただ単に「補導するチャンスが減った」だけなのではないか、という気もする。
もともと、自販機で買ったばかりの煙草をがまんできずにその場で吸っちゃう、とかいうおばかな中高生ぐらいしか補導できないじゃん。
コンビニでちゃんと年齢聞けるわけがないのは、わたし自身がコンビニでバイトしていた経験からわかる。
「失礼ですが身分証明書をお見せくださいませんか」
「あんだとコノヤロー、オレが未成年に見えるっつーのかよ!? あ?」
「いえいちおう決まりなもので」
「学生じゃないんだから身分証明なんてできるもん、持ってるわけねーだろバカヤロー!」
「いえその免許証とか……」
「免許なんて持ってねーよ!」
「じゃその保険証とか」
「持ってねーよ!」
……これで「だったら売れません」とか言おうものなら、暴れられたりとか最低でも怒鳴られたりとかで、その後仕事なんかしていられないほど落ち込むのは目に見えている。
何か起きたら自分が叱られる。冗談じゃない。
身分確認を徹底していそうなコンビニなんか、見たことない。
ていうか、それ以前に、見た目で身分証明させたりさせなかったり、というところからしておかしいと思えて仕方ない。
どこからどう見ても80歳のジジイだろうと子連れの母親だろうと、煙草を買おうとする者には無差別に「身分証明をお願いします」とやらなければいけないのではないか。
「身分証明をお願いします」
「ひどいっ!!! オレがそんなにガキに見えるのか!?」(実は本当に成人)
ということを思うと、どうしても人を傷つけかねないようなことはしたくない、という気がしてしまってできない。
見た目で判断されると傷つくのは、わたしだってよく知っているはずじゃないか。
もっともっと言えば、「20歳未満は禁止」というのが既に現実的ではない。……というのはもうずっと前、自分自身が18歳で喫煙していた法律学科の大学生だった頃から思っていること。
「未成年者喫煙禁止法」って明治20年(1888年)に定められてからこのかた、ほとんどまともな改正がされていないので、現実に未成年者の喫煙を規制する効果などほとんどないのだ。
そんな法律を持ち出して「だから大丈夫」なんて言うのは、ばかばかしいの一言に尽きる。
年齢制限をするなら18歳で線を引くべきだし、立場で言うなら「学生は一切禁止」のほうがわかりやすいだろう。(大学生は見た目ではわからないので無駄か)
「大人社会」「子ども社会」という幻の境界線にも問題はある。
その隙間に「喫煙」という行為が入り込んでいる、という象徴的な現象でもある。
……そんなことどうでもいいから、いつか、でもできるだけ早く、商業的喫煙がこの世界からなくなってほしい!!!!!
(……と、わたしの脳内の実は未だにヤニにまみれたままの神経細胞が騒ぐ。なぜヤニまみれのままかと言えば、受動喫煙のせいだ。喫煙者本人は副流煙を巧みに避けている)