原案帳#20(since 1973-) by会津里花
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2002年03月18日(月) 今日、お誕生日なんですよ 告知とカムアウト

★1・「GISF」とか?
★2・愚痴(って誕生日に言うなよ〜〜)
★3・告知とカムアウト(AISに関して)

まともな記事に入る前に、一言吼えさせて〜〜〜〜!!

お誕生日だぁ〜〜〜!!!!
自分の日記なので、どうか許してくださいませm(__)m
さすがに、この年になると、あんまり喜べないのねえ。
なんだか、妙に焦っちまうよ。(←江戸時代の「姐御」口調のつもり)

ま、でも、xx年前の今日、明け方4時半頃に、私はこの大気中の空気を
吸ったり吐いたりし始めたのでした。
大きな産声とともに。
(でも、割とおとなしかったらしい<生まれた時)
(お母さん、ありがとね(*^.^*))

「Welcome to Jackie's!」は52400カウント、「文芸部」も800カウントを超えました。

皆さん、これからも、どうかよろしくお願いいたします。
読んでくれる人がいるから、
私はこの世にいるものとして生き残ることができるのです……



★1・「GISF」とか?

(ぼそっ)
誰か、私と一緒に「Gender Identity Survivors' Forum」作らない?

というのは、

・まず、GID(性同一性障害)を抱える当事者にとって、
性別にまつわるかなり多くのことがらが、
いわゆる「ふつうの男女」だったらぜんぜん気にもしないようなことで
深く傷ついてしまうことがあるからです。

・また、性的に「奇妙」「珍しい」「おかしい」「ヘンな」存在、と見られることは多く、
そういう偏見からとても心無い言動を当事者に浴びせる人もいます。

そうした心の傷の痛みから逃れるため、直接に性別の問題ではないような部分で
社会的な不適応を引き起こしてしまう当事者も少なくないと思います。
現に、私だってそうだし。
「性別の問題」だけだったら、とりあえず今は公文書以外ではほとんど問題はないし、
日常的には「デカくて『男みたいに』ゴツいいおばさん」で済むのです。
それなのに、今でも「ううっ、私、けっきょく男に見えてるんじゃないのか」と
くよくよ、びくびくしてしまい、
けっきょく外に出て仕事をするのもなかなかできないような状態でいます。

現状では、あちこちのメンタルクリニックで
そういう精神的な不安定さを克服していくプログラムを組んで治療にあたっている先生も
多くいらっしゃるのでしょうけれど、
オンライン上で「自助」的に辛かったこととかをシェアしあうようなHPは、
まだ見たことがありません。

私は「IFF〜家族機能研究所
http://www.iff.co.jp/index.html
」などで「自助的な掲示板」とか
僅かだけど知ることができたし、
どうもそういうところは多ければ多いほどいいみたい?

「T's」独特で、たぶん「健常者男女」(っていう言葉を使っていいのか?)には
理解してもらえない苦しみが、きっと当事者にはあるはずです。

たとえば、私にとって、自分が男の体を持っていた、ということは、
もうそれだけで一種の「トラウマ」みたいなもので、
私が世界と関わりを持とうとするときに、大きな「認知のゆがみ」を引き起こしてきました。

私自身が、どうやら「GIDの精神療法」の面で進みが遅いのかもしれません。
この4年間で、私は生まれてから一度も認められなかった自分の体のかたちを、
ようやく認められるようになりました。
でも、それなのにまだ、私は充分な社会復帰ができずにいます。

私自身が「回復」したい。
でも、その動きが他の人にも、できれば良い影響を及ぼしてほしい。

そんなわけで、ご意見ありましたら『お話しましょ#2
http://cute.iruka.ne.jp/cgi-bin/a3/iruka.cgi?Jackie
』で、
ご意見をお聞かせください。m(__)m

P.S.
今『朝○ソー○ー』とかいうところの人が来た。
飛び込み営業だ。
ドアを開けたら、その営業マンは自己紹介の後、
お嬢さんですか?」と聞いてきた。
弟と二人暮しをしていて、弟でないとわからないから、と言っていったん帰ってもらったけど、
その人は私が「もしかしたら男(の遺伝子を持っている)?」とか、
微塵も疑わなかったようだった。

ひょっとして、私ってそんなにパスしてる?
それに、そんなに若く見える?
そりゃ「丑年」っていったら「じゃ、今年29歳?」と言う人は多いけど、
更にその一回り上だなんて、誰も信じてはくれない。

なので、年齢のカムアウトは、できるだけしないことにした。
だって、本当の年齢を言うと、相手の私を見る目つきや態度が、
ころっと変わってしまうだもーん。
(中には、まるで化け物でも見るような目つきになる人もいる(-_-;)
お願いだから、突然敬語なんか使わないでーーー(;_;)

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★2・愚痴(って誕生日に言うなよ〜〜)

(他の掲示板に書き込もうと思ったけれど、
眠たかったし、なんか私ばっかりたくさん書き込むのに辟易しちゃって、
書かずにおいてしまった記事です)


弟、なんだか仕事でかなり疲れてしまったらしく、
私と一緒にごはん食べてる間も一言も口きかないの……
さびしいよぉ……。
でも、彼には彼なりに、事情があったのだろうし……
そんな中で、この掲示板で声をかけてくれる人がいるのって、
とても嬉しいのです


さっきテレビで香取慎吾(字は?)が
原宿のど真ん中にボロ家を借りてるっていうドラマで
小学1年生の男の子とやりとりしているシーンを見ました。
男の子、熱演! しっかり泣いてました。
感情移入っていうか「役になりきる」っていうか、
でもあんな子どもに「演技」で泣かせていいのかなあ、……
などと思いながら、その子の母親……事情はわからないけど、
どうやら子どもを捨てちゃったらしい……のことを
香取クン(←嫌いじゃない♥)が詰って、
お母さんが泣きながら「(我が子に)会いたい!」って言ってるのを聞いてたら、
私も切なくなってしまいました。

もう、会わなくなって1年ちょっと。
その間に、電話で一度だけお話して。

あらら。
やば。

また切なくなってきちゃった。

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★3・告知とカムアウト(AISに関して)

医療掲示板」に書き込んだ内容です
(掲載は3/29)


---------------------------------

こんばんは。
ここには時々来てみるのですけれど、
読んでお勉強するだけに終わってしまうことが多いです。

ただ……
「半陰陽」などの性分化のバリエーションを持つ人たちのことについて、
私は個人的に「興味」……といって自分が「悪い趣味」で見ているのか、と
ずっと思っていましたけれど、
ずっとずっといろいろ考えてきたので、
marikoさんという方のご質問に、私なりの考えを述べようと思います。
間違っていることが多いと思うので、
専門的な知識をお持ちの方、指摘してください。

告知って、「カムアウト」と似ていると思います。
告知だと「実はあなたは……」で始まるけれど、
カムアウトは「実は私は……」で始まります。
何もかもまとめてごっちゃにするのは危険だけど、
似た現象、似た状況に直面することも
ままあると思います。

その中で、私がつい引っかかってしまうのは、
「後から知らされる」ということです。

たとえば、MtFTS(女性化を求める遺伝子上の「男性」)なんだけれど
周囲とは「男性」としてなんとか付き合っている。
そういう人が、あるとき突然周囲に
「私は女性です」と告げれば、
その瞬間までその人のことを「男性」としか思わなかった人たちは
とても困惑してしまうでしょう。
(テレビの『金八先生』で、↑とは逆のケースつまりFtMの子が
まさにそういうカムアウトをしました。
私は、あんなふうに追い詰められなければカムアウトできない、
という現在の状況に、悲しい気持になってしまうのです)

同様に「睾丸性女性化症候群(アンドロゲン非感受性症候群)」の場合も、
「困惑」が生じてしまうのは仕方ないのだと思います。
特に、AISの人たちの中には、ぱっと見はXXの女性と全く変わらない
(昔の何かの本には「女性の中でも特に女性的」などと書いてありました。
確かに、全身の細胞がアンドロゲンに対する感受性がなければ、
「男性的な要素を全く含まない体」に育つ、といっても過言ではないでしょう)
なのに、あるとき突然
「あなたは『本当は』男なんだよ」などと言おうものなら、
「私のどこが男?」に始まり、
「こんな体に産んだ親が憎い!」とか
さまざまな恨みつらみが噴出してしまうでしょうね。

私が思うに、「告知」するなら
・できるだけ正確に伝えること(部分的に隠したりしない)
・当事者が理解できる言葉を捜しながら伝えること

その告知が遅れてしまって苦しい思いをするのは
誰よりも当事者自身だと思うので、

ちゃんと伝えて、ちゃんと謝る。

これが最善の方法だと、私は思います。

懸念されているとおり、昨今はインターネットなどで
簡単に「いちばん正確なこと」を自力で突き止めてしまうことができますよね。

患者が最も悲しむのは、
自分についての事実を「隠蔽」されていた、ということに対してだと思うのです。

実は、私も一昨年、母に肺がんの告知があって、
昨年初めに亡くなるまでずっと付き添っていました。
母は晩婚で遅い出産だったため、
亡くなった時にはもう80歳でした。
当然のことながら、医学的な専門用語ばかり並べられたら、
わかるはずがありませんでした。

それで、私は母に付き合って受診し、
その場で担当医の先生がおっしゃることを
まるで「翻訳」でもするかのように
母に伝えていったのです。
なんでそんなに自信ありげに言うかというと、
私は母とかなり密着したままで私もこの年(ひみつだけど)になってしまって、
日常的にとても密接なコミュニケーションをとっていたので、
お医者さんの言うどの言葉が自力で理解でき、
どれは無理か、ということが
ほとんど手にとるようにわかったのです。

もしも当事者本人に告知するにせよ、
当事者側に立って本人がどういう言葉だといちばん通じるかを
知っている人が同行するのが良いと思います。

長い前置きも必要かもしれません。

突然出てきたと思ったら長いことを書いてしまってすみません。
私はMtFTSです。
でも、性自認については、いろんな意味でまだまだ揺らぎを感じています。

以下、前の記事の「つづき」です。
私が本当に「AIS」だったら、こんなふうに言ってもらえれば、
まだ耐えられるかな、ということ。

「性別には実はとても多様なバリエーションがあって、
最大多数の人が『誰もがみんな当然』と思うような
二つの性別、つまり「男」と「女」のほかに、わずかずつだけれど
考えようによっては男女どちらとも取れる、
あるいはそのどちらでもない、またはある、
そういう人たちがいます。
そうして、その人の体はその人のものなのだから、
その人がどういう性別で生きていきたいか、ということが
本来は最も優先されるべきことなのです。
(わかりにうそうだったら、言葉を選びながら繰り返すとか、
付き添いで来た人にもちょっと補足してもらう、とかいうことが必要でしょう。
できれば、付き添いの人には何らかの予備知識が必要かもしれませんけれど、
「本人の私にだけ隠していたなんて!」と思われてしまうと困るので、
一般的な知識や情報を多くもっている程度くらいの人に、
何も告げずに付き添ってもらえばいいのでは)

過去にあなたに対して事実を告げないまま
処置をしてしまったことは、
同じ医療従事者としてとても申し訳ないことだと思います。
つい十年ほど前までは、「XYの男」と「XXの女」しか
この世にいてはいけないとでも考える風潮が支配的だったのは事実で、
当時あなたに処置した医師はその「常識」に従ったのです。

でも、そうした「常識」によってあなたの心を傷つけるような処置をしてしまったことは、
(たとえ自分が当時の担当医でなかったとしても)謝るしかありません。

あなたは、自分が「男か女か」と悩むことについて、遺伝子、染色体を基準に
考える必要はありません。
あなたがどういう性の人として生きていくか、それがいちばん大切なことです。

(本人の希望を確認しましょう。もしもその場では混乱してしまって決められないのなら、
日を改めてもう一度説明しなおして、本人の意思が確認できるまで
粘り強く説明しましょう)

それでは、あなたがその性別で自信を持って生きていくのに必要な
サポートを、私たち医師がさせていただきます。
……」

私は自分がたぶん性遺伝子とかを原因とするタイプではないはずなのに、
なぜか自分をそういう人たちに重ねてしまいます。

以前よく言われていた
「停留睾丸を放置しておくと癌化してしまうから、
できるだけ早い時期に精巣を摘出するべきだ」
という説は、実はあまり根拠のしっかりしたものではなかった、と聞いたことがありました。
思春期いっぱい過ごしてしまってからでも、必ずしも癌化はしない、ということらしいですよね。
(詳しい方、いらっしゃったら教えてください)

私は、その時怒りに震えてしまいました。
はっきり言って、差別的な偏見があるから
「できるだけ早い時期」=「物心がつかないうちに」
と決め付けてしまっているように思えたのです。

marikoさんが関わっていらっしゃるAIS当事者の方にとって、
きっととても辛く苦しいことだと思います。
でも、「あなたがあなたという性別を自信を持って生きていけるということを
最重要視してサポートする」と言い続ければ、
もしも初めは自分の体を「いじられた」というショックから意固地になってしまっている
当事者も、
少しずつでも心を開いてくれるようになると思います。

「性同一性障害」は、多かれ少なかれ「性」の字を抜いても
「自己同一性(アイデンティティ)」に揺らぎを抱えながら育つことを余儀なくされます。
でも、それが子どもの頃から自分である程度認知できていれば、
揺らぎに対して自分でどうにかする、つまり「自己決定」を
しなやかに、たくましく身に付けていく人もいるのだと思います。

でも、半陰陽やその他の性分化異常を抱える人たち、
特に今はもう成人しているような人たちにとっては、
多くの場合「告知なし」で育ってしまっているのだろうと思います。

ちょっと感情が高ぶってきてしまったのでひどい言い方をします、
お許しください。

もしも小さな子どもが体に腫瘍を抱え、それでも顕在化しないから仕方ない、と
放置されてしまったら、どうなることでしょう。

現在、半陰陽やその他の性分化異常を抱えている人たちは、
まるでこの子と同じ状況に置かれている、といっても過言ではないと思うのです。

当事者でもない私がこんなことを言ってでしゃばるのは、
何か不自然で、自分でも違和感を感じます。

でも、性同一性障害の当事者が自分らしい性で生きていくことと、
半陰陽その他の性分化異常の当事者が自分の体について正しいことを聞く、ということは、
どこかが同じだと思います。

まだまだ「本当のこと」がよくわかっていないことがらも多いです。
たとえば、クラインフェルター症候群の人たちがいますけど、
この人たちは(たぶん今でも)医学的には「『男性の』性分化異常」ということになっているそうですね。
でも、現実に存在するクラインフェルターの人たちには、
体形の特徴などもあるのでしょうけれど、医学が認めているほど
自分のことを「男」だと思っている人は少ないようです。

私は、自分自身は決してクラインフェルターではない(らしい……チャンスがあれば調べたいですが)
身ですけど、
クラインの人たちが一刻も早く、
「自分らしい性」を選択できるような世の中になってほしい、と思います。
自力で選択できるようになるためには、
男性ホルモンの補充とか、本人がその結果としてどうなるか、
わかりやすい説明を受けて自分で納得できるようになるまでは
医療側で勝手に決めてはいけない、と思います。

すみません、AISのお話だったはずなのに、
いつのまにかクラインフェルターのお話になってしまいました。

感情的で不正確なことがらも多く含まれているとは思いますが、
もしもわずかでも、marikoさんが関わっていらっしゃる当事者の方が
安心して性について考えながら生きていける手助けとなれば
こんなに嬉しいことはありません。

では

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