原案帳#20(since 1973-) by会津里花
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2001年12月26日(水) 音楽

★Janis
★マレーネ・ディートリッヒ
★清水靖晃


★Janis
ある友人から「年末年始用に」といってビデオ3本、CD3枚を貸してもらった。
(みかりん、さんくす♪)
そのうちのビデオ1本、まだちょっと早いんだけど、早速見てしまった。
タイトルは『Janis』。60年代後半〜70年頃にかけて活躍したアメリカのシンガー、
ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin, 19xx-7x)の姿を、ライヴを中心に映したものだ。

なぜジャニスばっかり先に見たくなってしまったかというと、
私はジャニスにすごく興味があるのに、
歌もあまり知らないし、映像でもほとんど見たことがなかったからだ。

そうは言っても、ジャニスをモデルにした映画『The Rose』は見たことがある。
それも、確か2度くらい。あ、違う。やっぱり1度だ。
でも、ベット・ミドラー(Bet Middler)の扮する「ローズ(=ジャニスがモデルになっている主人公)」が
全身で熱唱する姿は、
今から10年ほど前にビデオを借りてきて見たときから、
強烈なインパクトを私に与えつづけている。今も。

オフラインで私を知っている人の中には、
もしかしたら私がカラオケでやたらと"The Rose"を歌うのを知っている人もいるだろう。
私は、どちらかというと淡々と歌う"The Rose"の中に、ジャニスの、
そうして彼女がまるで自分のことを全て表現し尽くそうとしたかのように
駆け抜けて生きていった姿を模したベット・ミドラーの、

「お願いだから、私のことをわかってーーーー!!」

と大声で叫ぶような歌い方への憧れを込めている。

それは、いつの頃からか自分でも覚えていないけれど、
ジャニスやベット、そうしてもしかしたらNOKKOや椎名林檎にもつながるような
全身を使って、搾り出すように、叫ぶように歌う(文字通り「シャウト唱法」などと呼ばれたこともあった)
そういう「歌」に、私が強い憧れを持っているからだ……と、思う。
それは、エラ・フィッツジェラルドに代表されるようなジャズヴォーカルに
ルーツを求められるのかもしれないし、
(悔しい、名前を思い出せない!! いつも気にしてるのに)ソウルにも、
更には遠くケイト・ブッシュとかマドンナ、ホイットニー・ヒューストン、マライア・キャリー、
あとジュエルなんかにも通じるのかもしれない。

私は、もともと喉がそんなに強いほうではなかったのに無理して男声で高い音を出そうとして、
今では高い声なんてろくすっぽ出ない。
(しゃべり声はユーミンと同じくらいの高さなんだけど(^^;)
でも、確か10代の頃からずうっと思ってきた。

きれいでパワフルで説得力のある、女性ヴォーカルが歌えたらよかったのに、と。

ああ、そうか、タイプはだいぶ違うけど、
中1のときにカーペンターズの"Yesterday Once More"を歌って以来なんだ。


――私はステージの上のジャニスとシンクロして、体じゅうでソウルを感じていた。
ジャニスの言う「ブルースやソウルは音楽として誠実そうだと思ったから(歌う)」という言葉を、
私は体で感じていた。

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★マレーネ・ディートリッヒ
さて、その後、(こうやって書くのは蛇足なんだろうけれど)こんなことがあった。

ビデオを見終わって巻き戻し始めたら、テレビのチャンネルが映った。
それはNHKで、番組は「マレーネ・ディートリッヒ」を追うドキュメンタリーだった。
マレーネは、ジャニスとはほとんど「正反対」と言ってもいいような歌い方をする。
「1963年にドイツ語で歌う『リリー・マルレーン』の映像」というのを見た。
この人の声域は、実は私でも歌えるようなとても低い音域だ。
そうして、何かを見据えるような、ほとんど表情はおろか目線も動かさない姿勢。

でも、私はこの人が、祖国に帰れなくなってでも貫き通した生き方と、
その生き方に裏打ちされたかのような歌い方に、
ジャニスのときと同じように感動してしまった。

月並みな言葉が結論になってしまうけれど、……

歌は、人生。生きざま。
貫いて歌い続けるとき、その人の人生そのものといっていいような表現に、なる。
それは、若くして死んでしまったとか(ジャニスは確か25歳ぐらい?)、
逆に長く生きたとか(マレーネは90歳前後まで生きて1992年に亡くなった)、
そんなことにでも、左右されないのだ。

(あーもう、言葉は歌そのものの1000分の1ぐらいしか伝えられない。
しかも、長くなればなるほど、余計な文字ばっかりで音から遠ざかってしまうし。
興味がある人は、上の二つの記事にかなりたくさん挙げたシンガーの歌の、
どれか一人でも二人でもいいから、聞いてみてくださいね(^^;)

これから、みかりんが貸してくれた私の知らないアーティスト「Double」(という名前のデュオ)を
聞く楽しみが待っている。

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★清水靖晃
眠れなくなったら困る、と思った私は、寝る前にもっと落ち着いた音楽が聞きたいと思った。
それで、別の友人から借りた、清水靖晃のサックスによるバッハ「無伴奏チェロソナタ」のCDを
聞くことにした。
(うじぇさん、さんくす♪)
……リピートにして聞いているうちに寝てしまって、けっきょく一晩中聞いてしまったことになる(^^;。

実を言うと、私はベースで「無伴奏チェロ」のうちの1曲の、更に2楽章だけだけど、弾ける。
(まあ、「弾ける」なんて言っても、人に聞かせられるようなレベルじゃないけど(-_-;)
確か「第3番」の後のほうの二つの楽章だった、と思う(よく覚えてなかったりして……いいかげーん)
ベースなので、1オクターヴ下げているし、物理的に大きな運指をしなければならないから
のろのろとしか演奏できない。
だから、ヨーヨー・マとかの演奏を聞きなれている人には、
なんだか「再生スピードを間違えたテープ」みたいに聞こえるだろう。
まあ、それでも、確か「1・3・6番」を聞いて「これなら演奏できるだろう」と決めるくらいには聞き込んでいる。

ところで。
そうやって聞きなれたのか、
また、やはりベース……といってもウッドベース……で弾いたロン・カーターの演奏を聞いていたからか、
それとも……
これの可能性がいちばん高いけれど……
サックスの音だからか、
清水靖晃の音は、なんだかとってもわかりやすかった。
これなら、キーさえ合っていれば一緒に演奏していてもやがて弾けるようになってしまうのでは、と思うほど。

朝方に起きる間際、なぜかサックスの音から夢を見た。
その中で、私は自分が男で、演奏しているのが女性という設定で、
「この人(女性)、すごくうまいなあ」
と感心しているのだった。
ま、サックスを吹いていた頃は、
自分のことを「男にならなくてはいけない存在(他人事)」だと思っていたんだけどね。

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そうそう、つい最近知った人。二人。

・ビョーク(bjork)
映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の主人公になった、アイスランドのシンガーソングライター。
・chara
実は言ってるほど知らなくて、やっぱり映画『Swallowtail』に出演していたのと
その主題歌をうたっていたことを知っていただけなんだけど。

でも、私にはじゅうぶん。
二人とも、音楽に対して「誠実」だ、と思うもん。


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