つい一年程前、少女漫画家になりたかった。 吉祥寺の画材屋さんとユザワヤで、バイト代を注ぎ込んで、 買いました。紙とかペンとかスクリーントーンとか。
私は少女漫画を愛する、乙女座なんだ。 愛読雑誌は、別冊マーガレット。略して別マ。
最近の女子(おなご)たちは、みな少年漫画やら青年漫画やらに流れてしまい、 少女漫画の社会的地位は下がる一方。 あぁ嘆かわしい。
そんな漫画界を変革しようと一人、 それは大学2年の秋、 目論んだ。
ベレー帽被りたかった。 作者の顔は美化しようと思った。 印税で青山のマンションに住もうと思った。
私は描いた。 女の子の横顔とか。
そのころ受けていた阿部先生のサブカルチャー論。 テーマは漫画。しかし、 そこで出会った古谷兎丸に傾倒して、 私は少女漫画化の道を絶つことになる。
それはマリィの奏でる音楽。 私も空に浮かびたいって。 そう思ったら負けた。
|