相変わらずの風邪なので、一日うちにいた。 えらく退屈でながぁい一日。 気付くと夜のニュースが始まっていた。 芸能ニュースが流れていたので、そのままぼんやりと見る。 昼の事はあまり良く覚えていない。
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴ったので、私はビクッとして、 それから不快になった。 あまり多くを語りたくはないのだが、私はチャイムと電話のベル恐怖症なのだ。 だからいつもは居留守を使う。
ピンポーン
二度目のチャイムが鳴る。 私は例のごとくそのままやり過ごそうかと思っていたが、 オークションで落札した茶色のジャケットが、今日送られてくることを思い出した。
案の定それは「郵パック」だった。 届けてくれた髪の長い二重のお姉さんに感じよく挨拶し、バリバリと袋を破く。 新品同様、茶色のリバーシブルジャケット。 期待通りの品物に腕を通し、私の心はいささか高揚した。
早速お気に入りになったお洋服を、 子供のようにずっと着たまま。 このまま退屈を脱しようと読書を始める。 江国香織。 35ページくらいでギブアップした借り物の小説を誰も居ない居間に持ち込む。 今なら読み切れると思った。
続く...
いや、もう続かない...
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