私的正論。

2003年02月04日(火) 見出されないことを嘆くなよ。

死んでないよ。

さて。

この年になると、いい加減友人どももこなれてくる。
みんないい感じで生きている。
彼らと話すと、たまに、こういう話になる。
俺は私は早熟でなくて良かった、というような話だ。

いっぱしにクリエイターなぞ気取りたい人種ていうのは。
往々にして若い頃から負けん気ばかり強ェもんで。
自分より若いか自分と同じぐらいの人間が脚光を浴びると。
悔しい。

けど。

この年になって飲んで。
じゃあお前新人賞のひとつも欲しかったかよと話すと。
みんな首を横に振って、いらねえいらねえ、と笑うよ。


見出されなかったからこそ今があるから。
下積みの貧乏で知り合った男や女やツレが居るから。
早熟の才なんてもんは要らねかった。

欲しくは無かった。
どのみち無かったしな、とは笑うが。

人生に負けちゃぁいない。
いつも、いい酒だ。



なあ。

見出されないことを嘆くなよ。

あんたの先の十年には宝物がイッパイで。
そいつを台無しにされたくなかったら。

見出されることをこそ怖れろよ。





長く生きてると。ミジメってのも。
いい風合い。

悔しさも。
かみしめて酒のツマミに出来るようにもなったりヨ。
するから。


中途半端にあんたの才を見出し。
あんたを消費しようとする世の中のほうにこそ気を付けろ。

その先の十年の方に絶対に。


あんたにしか見えないもんが、詰まってるから。

くさるなよ。



ダイジョウブ。

生きてるから。


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桜木



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