振り返ってみれば、おかしなもので。
他人に馴染まず独りを好んでいた頃の方が、よほど。 他人の目や評価を気にしており。
他人と関わる楽しみを覚え、無闇に友人を増やしていた時代の方が、よほど。 自己中心的だった。
だから孤独のうちに人は疲れ。 むしろ喧噪の中で自己を癒す。
ひとりぼっちだから疲れないはずなのだ、と思うけれど。 そうではなくて。 ひとりぼっちだからこそ、疲れるんだよ。
人は群れて生きるもので、むしろ群れている時のほうがずっと孤独で。 その孤独は、しかし、愉快なものなんだな。 人と群れず、何かに必死で背を向けて生きる孤独のうちで。
他人に振り回されているバカげた自分に気付くよりか。
洞窟で身を寄せ合い眠った原始。 一つ屋根の下に居候が十人居た時代。 血縁の良くわからない老人に食わせていた農家。 一人また一人他人をこぼして行き。 今や小さな家庭。
他人の気配の中で。 他人を尊重しつつ敢えて他人を無視し。 愉快な孤独を感じられる人間になれと願う。
孤独が辛いのは。 自己中心的になることを罪深く感じるからだよ。
自己中心的で良い。
利害を侵せば他人は顔をしかめてくれる。 だからわかるが。
てめえの利害は侵しても侵しても。 てめえのゆがんだ顔や心は、なかなか見えては来ないもの。
人の中で。 人の顔ゆがませ。 覚えてけ。
耐え過ぎたって良いことは無ェさ。
孤独で辛いのは当たり前。
どっちみち孤独なのなら。 人の海に漕ぎ出て。 むしろ誰とも重ならない自分に出会い。
好きなようにしか生きられないてめえを知って、笑う方が良い。
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