友人が落ち込んでいた。
堂々巡りの自己嫌悪と憐憫の狭間で泣くことも出来ず、もがいていた。
イイ大人だ。子も一人居る。 だから情けないのと言った。 笑いたいでしょうと言った。甘ちゃんだと思うでしょうと。
思わねェよと言うと。それはウソだと言う。
思わねェよ。
大人になりゃ雁字搦め。誰が誰かを甘ちゃんと責められる?
てめえに厳しい奴は他人にも厳しい奴。 たった一つの処方箋片手に生きてく奴。
なあ。
落ち込んだ誰もが望むことを、カミサマになった気で教えてやろうか。 そんなもな、たった一つ。
お前で良いってこと。
理解されたいと願うのは良い。 理解されないことに傷つかないで居られるのなら。
誰にも本性見せず。飾り続けていくのも良い。 見抜かれる快感を。求めないで居られるのなら。
思いの違う奴らの犇めく世界に一人で。 触れ合う温もりが欲しいから。 孤独で居るのがイヤだから。
押しくらまんじゅうに参加する。 それは良い。
けど。
参加するって言うんなら。
そんなら。
押されて泣くな。
そうして。もちろん。
お前はお前で、良いんだよ。
泣けよ。飲めよ。
笑えよ。バカを言えよ。全部お前。
けどヨ。
どうせ泣くなら。ここで泣け。
何もかも否定しないのが愛ってなら。 確かに愛だろう。
何一つ注文しない。お前で良い。
けど。
理解してもらえなくても泣くんじゃない。
友として認めることと。わかることとは、別のことだから。
わからなくとも。お前で良いと。
それが桜木の友。
友よ。友。
押されて泣くな。
酌み交わす酒に賭け。
お前の人生を称える。
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