2002年07月12日(金) |
何故人を殺してはいけないのか。 |
宅間が言う。 優秀な人間も数分で失われることを。その空しさを証明したかったと。
アホちゃうか。 誰が証明せんでも、そんなことはとっくの昔に世界の犯罪史と歴史とが示してる。
キューブリックという映画監督が撮った「時計じかけのオレンジ」いう映画がある。
その主人公は、劇場型殺人鬼を絵に描いたようなクズだが。
腐った殺人鬼を前にはどんな矯正も無駄であるという。 究極の「責任放棄」という結論一つを導いて見せるには、最高のキャラクターだった。
人が人を裁けるか。 人が人を直せるか。桜木は思うさ。そら無理だと。
けど。
何故人を殺してはいけないのか、と問われたら。桜木は言う。
何ということもねー、シンプルな回答。
何故人を殺してはいけないか。
そら。
人間なんざ、放っておいてもいずれ死ぬからさ。明日にでも。五分後にでもナ。
「尊い犠牲」なんつう言葉がヨ。何ひとつ真実を語るものかよ。
「自爆テロ」。あれも「尊い犠牲」って話。冗談じゃねー。吹っ飛ばされた連中はどうなる?
世界は狂ってくばっかだ。
何故人を殺してはいけないのか?
もっとわかりやすい言葉で言うてやろうか。
そらな。「わかってることをやるのがバカ」だからだヨ。
目の前に3000円のメロンがあって、それを土間にほりすてるバカが何処に居る?
土間でグシャになったメロンを誰が食う? 誰も食わねーヨ。
ほり捨てんでもヨ。食えば無くなるメロンだ。そんなら食えだ。
土間にほりすてるためにあんじゃねーし。
てめえの憤りやらアホな理屈を世間に言ってみせるためにあんじゃねー、てのは。 自明のこと。
3000円のメロンは食い。
人は生かせよ。気にくわなければ喧嘩しろ。
けど。殺すな。喧嘩して喧嘩して。
けど。殺すなよ。
長い長い休みで。 待ってくれてた御仁もあったんかな。悪かった。
言葉は相変わらず力無くてもヨ。
悪かった。
近所の公園を通りかかる時。傘で鉄の柵を撫でてったら音が出たナ。カンカン。カン。
あんな感じのナ。桜木の自習。 この存在が誰かの耳に届くことも、たまにはあるだろう。
だから何故人を殺してはいけないのかと。
相変わらず遠吠えじみた、この自習を見てくれた人らも。 考えてくれたら嬉しい。
かけがえのない大切な誰かを殺されて後。 その上何度も何度もくだらねー野郎に汚された気のする悲しみに。
何かが出来るといったら、今はこれくらい。
今朝。今年初めての蝉を聞いた。
明日死ぬかもしれねー命だよ。
だから今は今年の蝉を聞かせておいてくれよ。
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