samahani
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2006年05月21日(日) ある中国人

昨日の日記の続きです)

次男の高校でのクイズクラブの打ち上げ会に参加して、私はちょっと落ち込み、またやっぱり日本に帰りたいと思ってしまった。 complimentary なアメリカ人やアメリカ文化に辟易したからではなく、一番の原因は、そこで交わされた会話を私がなんとなくのレベルでしか理解できなかったことだった。ここに住み始めてもうすぐ8年になるけれど、私の英語はあまり上達していない。いつまで経っても仮住まいのお客さん状態である。

昨日のパーティーには15家族のうち、2組の中国人の家族がいた。彼らは上手に英語を喋り積極的に会話に参加しているように見えた。帰りの車の中で、夫と息子に「(あの人たちの英語が上手いのは)やっぱり中国人は帰らないつもりでアメリカにやってくるから、必死で英語も勉強するし、私とは心構えも違うよね。まあ、私よりは長くアメリカにいるんだろうけど」と話したら、息子は「ひとりはうちと同じくらいで、もうひとりは来て4年くらいだったはずだよ」「それにあの人たちの英語、全然上手くないよ」と言い、夫も自分もそう思ったと言うので、二重にショックを受けたのだった。

その中国人だけれど、私が少し遅れてみんなのいるテーブルに着いたとき、私に一番 friendly に話しかけてくれたのはその人だった。「なおき(長男)は、 Tokyo University に入ったんだってね。すごいねっ。うちの息子が話していたよ」とすぐに言われ、きょとんとしている周りのアメリカ人に「日本で一番難しい大学なんだよ」と説明してくれた。それからそのテーブルは、(長男もそのクイズクラブに1月まで所属していたので)彼の話題になり、東京に親戚は居るのか、寮に入っているのか、専攻は何か、卒業式に彼は来るのか、などの質問を受けた。

それからしばらくして、「今度、日本に旅行に行くのよー。ちょうどよかったわー。ガイドブックだけじゃ分からないからいろいろ聞きたかったのー」なんていう調子のアメリカ人が私のいるテーブルにやってきて、彼女と日本の話で盛り上がった。だから、パーティーで決して話の輪に入れなくて寂しかったわけではないし、いままでどこででも、差別されているなんて感じたこともない。なのに、日本に帰りたい病が再発したのは、やっぱり自分自身の英語力の所為だと思う。(いままで時間はたくさんあったのに勉強しない自分の所為なのだけど)

そしてもうひとつ気にかかったことが、褒め上手なアメリカ人がどうして長男の大学の話に「すごいわねー」と同調しないで、しらっとしていたのかということだった。初めは東大なんていってもアメリカでは知られていないのかしらん?と思っていた。しかし、昨日のことをつらつらと考えているうち、それはプライドの高いアメリカ人にはちょっと許せない出来事だったのかなと思えてきた。長男が高校でいい成績を残していたことは知られている。だから、そこまでできるなら、なぜハーバードやプリンストンなどのアイビーリーグやMITなどを狙わないの?と、自国の大学のほうが数段上と思っているアメリカ人には、素直に認められなかったのだろう。

だから、そこで会った中国人の友好的な態度はちょっと嬉しかった。いままで出会った中国人はみんな「偉そう」の一言で形容できる人たちだったけど、昨日の人は偉そうだとは感じなかった。パーティーが終わって帰るとき、私が真っ先に夫と息子に言ったのは、「中国に居る中国人とアメリカに住んでいる中国人は(たぶん)全然違うね」だった。



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