samahani
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2002年05月28日(火) |
和を尊ぶか個を重んじるか |
今頃、日本はワールドカップで盛り上がって、「サッカー」一色になっているんでしょうね。よく分かりませんけど。
天皇崩御やご成婚や大事件があると全部のチャンネルがそれ一色になるように、「視聴率の取れるものには飛びつかなければならない」というテレビ局の視聴率至上主義があるから仕方がないのかもしれません。見たくない人がいてビデオレンタル店が繁盛することになっても、その少数派には合わせられませんから。
去年の9月11日、同時多発テロがあった時のことです。テレビを点けてチャンネルを次々変えていったら、のんきに、マンガやエアロビクスやお料理をやっているチャンネルがいくつもあって、なんだか感動しました(感動という言い方は変かもしれないけど)。 アメリカの懐の深さを感じたと言うか。
単純に日本と比べられないのは分かっています。ここでは、一般的にケーブルテレビ契約をしているので、約50ものチャンネルがあるのです。ニュースだけでもCNN、NBC、FOXなど10チャンネルくらいあります。けれど、他の専門チャンネルは、テロ事件を放送したくてもソースがないからできないのです。約半分はテロ以外の番組を放送していました。
話は変わるけれど、こちらでいろいろな手続きを進めようとすると「担当者が不在なので」という理由でスタックしてしまうことがあります。夏休み休暇だからあと2週間待ってと平気で言われると、ムッとします。けれど、「なぜあなたが代わりにやってくれないの?」と言っても、「私の担当ではない、専門ではない」と言われるだけです。
こんな時、日本なら、他の人がフォローして業務に支障が出ないように助け合うのでしょう。けれど、夫は、この日本式の「みんなで」という仕事のやり方が嫌いです。みんなで一緒に残業といって仕事の終わった人まで付き合わされたり、社員旅行といって家族と過ごすはずの休日がつぶれたり、そういうことをとても不合理に感じるのだそうです。ここではその代わりに、会社の人を個人的に自宅に招いて小さなパーティーや食事会をします。
以前、日本の高校に体験入学したアメリカの高校生たちのドキュメンタリー番組を見たことがあります。ちょうど文化祭の時期で、日本の高校生が空き缶を集めてきて繋ぎ合わせ、校舎に吊るして大きな絵を作っていました。それに何の意味があるのかと問われれば、たぶん「それが青春というものだ」とかなんとかよく分からない答えしかできなくとも、それを過程をつぶさに見たアメリカの高校生は、感動した、みんなで一つのことをすることの素晴らしさを感じた、羨ましいと思った、と言っていました。
たしかに、こちらの学校ではみんなで力を合わせて何かするということがありません。運動会もなければ(当然、組み体操もない)、学芸会、音楽会もなく、入学式、卒業式もありません。新学期に、いきなり普段通りの授業が始まります。小学校には卒業式がありますが、そのために長時間さいて練習することはしません。
個を重んじる文化の中で、和を尊ぶことは必要がないと思われているからしないのか、もともと和を尊ぶことを知らないからしないだけで、実はアメリカにも必要だと認められるものなのか、分かりません。けれど、現在のアメリカの社会(会社組織等)では必要とされていないものであるのは確かです。
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