キ ミ に 傘 を 貸 そ う 。
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あなたのこと たまに分からなくなる。
私のこと 空気人形としか思ってないことだけは きちんと理解しているつもり。
お互い仕事が忙しすぎて、一ケ月くらいまともに会えなかった。
もう飽きられてるって思ってたし もうどうでもいいって思われてるんだろうなって思ってた。
あなたは今まで守ってきたものを きちんと守りながら、私で遊んでいる。
先週の金曜日。 深夜近くにメール受信。
『これから行きます。』って。
え?
これから私の家に来たら、確実にもう電車はなくなって 朝帰りせざるをえないのに。
最初は「酔ってるんだろうなー」と思って本気にとらなかったけど
『1時到着予定。』って。
ほんとうにやってきてびっくりした。
あなたは「これで都築のこと抱き放題だな!」みたいなことを言って 結局朝まで私のベッドで寝ていた。
始発の電車に乗るために、早朝にむくり、と起き上がって 「帰るよ!」って。帰り際はいつも冷たい。
風邪をひいていたあなたはマスク越しに私にさよならのキスをして 守るべき家に帰っていくのだった。
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