キ ミ に 傘 を 貸 そ う 。
index|back|next
Aさんが花火大会に連れて行ってくれた。
ある日突然、『○日、花火大会があるから行こう』って。
私が、「お祭りに行きたい」って呟いたのを覚えていたみたいで それで誘ってくれたらしい。
私はとてもとてもびっくりしてしまって。 だってAさんにとって私は遊び以外の何物ではなく。 私をどこかに連れ出して楽しませてあげようだなんて そんなこと思ってくれてるなんて、微塵にも思わなかったから。
傷つかないように、私はAさんに何も期待しないで生きているから。
誘ってくれた数日後に。 『席も予約した。チケット買った。』って。えー! 嬉しくて、心がはしゃいだ。
花火大会の前日に私の家に来てくれて。 2人で2本映画を見た。
ひとつはとても笑える映画で。 Aさんが「一緒に観たい。」って借りて来てくれた。
もうひとつはとても哀しい映画で ひとり泣いてしまった。 Aさんは「せつない映画だな。」と言っていた。
花火に行く前に2人でお酒などを買出しに行って 本当に恋人のように2人で花火を遠くから見て 幸せだなんて感じてはいけないのに。 私はきっと幸せだった。
私がこんな夏を過ごすなんて思ってなかった。
Aさん。 私は、あなたのことをどうしようもなく愛してる。
あなたは私こと、少しでも愛してくれてる?
|