キ ミ に 傘 を 貸 そ う 。
index|back|next
サヨナラのはぐをして、 私がそう言うと、彼は私を抱きしめた。 そして サヨナラのキスをしよう、と言われて サヨナラの短いキスをした。
-----------------------------
彼との時間は、どこか現実味がなく 今だって「あれは嘘だったんじゃないか」とさえ感じる。 彼の言葉の全てが嘘に思えてくる。
まだ断片的に、貴方を思い出す。 私を抱き寄せる手と、頬に当てた手。 私の頭を撫でながら、彼は眠りに落ちた。
ふいに、彼の手が私の顔をつねった。 「怒ってるの?」と聞くと「ううん。」と言った。
何故私がJを選ぶのか、何故私が貴方を選べないのか、 それを少しずつ説明した。 どう説明したかはあまり覚えていない。 『あたしはあなたの一番にはなれない。』 そう言ったのは覚えてる。
彼は何度も私を抱き寄せた。 私は何も拒まなかった。 彼の腕の中で、「眠れない」と何度も思った。 彼の胸から少し速い鼓動が聞こえた。
どうして良いか分からずに、私は彼の隣で眠った。
やっぱり思い出すと全てが嘘としか思えなくなる。
「酔ってるの?」と、聞いてみた。 答えなんて最初から分かってたけど。 彼はあの程度のお酒で酔う人じゃない。
ふと、私は彼の頬をつねった。 彼は「怒ってるの?」と聞いた。
私は首を横に振った。
|