キ ミ に 傘 を 貸 そ う 。
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大切な人が欲しいなぁ、とふと思う。 そうすれば私は、何にたいしても優しくなれる気がする。 ただそんな気がする。ただ途方に暮れる。 そして柔らかい毛布にくるまって眠る。
私は大切な人が居なくても、こうやって普通に生きていけるし 楽しいことも、ぽつぽつと降ってくる。 その「楽しいこと」は、他人から見たら馬鹿みたいなことかもしれないけど。
とうとう季節が春から夏っぽい匂いを放つようになった。 草の匂いを私は吸い込む。 体が縮まる。
ふとまた「一年が経った」と思う。
日が長くなって、夜7時近くでも明るくなってきた。 明るいまま私は研究室でだらだらと過ごす。
先生が居ない合間に、仲間達と雑談をする。 モノポリーをする。そして負ける。
「はるかちゃんは人が良いから負けるんだよ。」
私の(ゲームではなく)弱さを「優しい」という人達が、まだまだ沢山居る。 私は元気があるときそれを否定し、諦めているときは沢山の人を騙しているような気がする。
それでもまだ、何が正しいのか分からない。
生きてくってことは、やっぱり何かを捨てて何かを得ることだ。 自分の中の正義と悪を見極めていくことだ。
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