キ ミ に 傘 を 貸 そ う 。
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2005年01月17日(月) 例えば。



例えば雨の降る日で。
大切な人から貰った大事なものを。
失くしてしまったから、寒い夜に探していて。

誰も僕のことを知らない。
今苦しくて寒くて死にそうな夜に息をしていることを。
本当は誰かが探してくれるのを待っているのに。

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例えば。



どうか。
今この私と手を握っているベットに横たわる病人が。
その人が欲する手に、私が代われればいいのに。

「このことは言わないでね。」

私は彼に言う。

「もし気付かれてしまったら、リエ先輩が、手を握っていたと言って。」

彼は少しせつない顔をしながら承諾し、部屋から出て行く。
私はまた病人の手を握る。

病人が回復し私はその土地を去った。
病人のところの彼はあの手の感触だけを覚えていた。
しかしそれはリエだと思い込むのだ。

私は心を濡らしたままバスに乗る。
『この手が、リエ先輩の手だったら良かったのにね。そうしたら、あなたは幸せなのに。ごめんね。今、ここにいる私が、私で、本当にごめんね。』

泣きながら言ったその言葉を、私の友人はドア越しに聞いていた。
その言葉を、病人であった彼に伝えた。


その後二人はどうなるのだろう。


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