車椅子の恋 - 2004年03月25日(木) 急に思い出した。 以前やっていたドラマ、「世紀末の詩」を皆さんご存知だろうか? 当時僕はそのドラマが大好きで欠かさず見ていた。 好きな俳優、竹野内豊が出ているのと、 1回ずつ終わる点が魅力だった。 HPはこちら→(http://www.alived.com/blue/lastsong/) その第5話に”車椅子の恋”という話があった。 僕の中ではかなりインパクトの強い話だった。 内容は、僕の遠い記憶をたどると・・・ どしゃぶりの雨の日、その日も星野は路上で似顔絵を書いていた。 そこにズブ濡れになった留美が現れる。 「私の似顔絵も書いてくれますか?・・・でも私の持っている お金はたったのこれだけ。」そして、ポケットから小銭を出す。 「これが私の全財産」留美は悲しく微笑む。 ただ、星野にはそんなズブ濡れの留美が聖マリアに見えた。 ・・・そう、あの時ベッドで見た聖マリアとダブって見えた。 星野が似顔絵を描く理由。 それをこう表現している。 ・・・世の中には、悲しみや苦しみを抱えて生きてる人がとても多いと思うからです。その人を、嘘偽りのない自分の心の目で感じてあげたいんです。 そうして、実際のその人よりもほんの少し良く描いてあげる 太っている人はスリムにとか そういうことだけでなく、ほんの少し明るい色を使ってあげるんです。 専門的に勉強したわけでもない僕が言うのもおこがましいんですが、 僕が描いた絵を見て、ほんの少し元気を出して欲しいんです。 頑張って仕事をしよう。勇気を出して恋愛をしてみよう。 人生は…悪いことばかりじゃない。 ・・・少しでも多くの人に生きる希望を与えたいと望む星野…、 それがかつて犯罪者として生きてきた星野の贖罪。 星野は以前犯罪を繰り返していた、 殺人以外の犯罪は全てした。 運悪く捕まっても、反省したフリをし、涙を流せば 裁判官をも欺き、刑は軽くなった。 出所後も、懲りずにまた強盗をした。 ババァがなかなか出さないから思いっきり殴ってやったよ。 金を手にし逃げていると、不覚にも走ってきたバイクに轢かれてしまった。 宙を舞う自分を見、もう死ぬんだと思った。 今までの悪事が後から後から思い出す。 あぁ、これが死ぬ前なんだ。。。 死の覚悟の中、かすむ目にある女性が浮かんだ。 聖マリアだ。・・・そう思った瞬間、目が覚めた。 病院のベッドの上、両足はなかった。 そんな過去の星野の姿を知る由もなく、留美は星野と会う回数を重ねる。 留美の友人は、今までに何度も男に騙されている留美の姿を 思い出し、忠告する。「本当にちゃんとした人なの?」 「うん、今まで付き合った人と別れたのは、彼と出会う為だったのよ!」 と嬉しそうに応える留美に、ますます不安に思う。 ・・・その日も星野と留美が楽しそうに歩く姿があった。 留美はふいに星野の目の前にあるものを差し出した。 ダイヤだ。 「私ね、今まで何度も悪い男に騙されてお金は全部なくなったけど、 コレ、このダイヤだけは亡くなったお母さんの形見なの。 私のたった一つの財産。」 星野のダイヤを見つめる顔に、笑顔は消えていた。 翌朝、留美の家にダイヤの姿はなかった。 留美は動揺し友人に相談する。 「ダイヤの事を知っている人は?」 その質問をキッカケに、留美は星野を調査。 強盗の前科のある事を知る。 デートを終え、帰路に向かう二人がいる。 雑談をしながら、留美は星野の車椅子を押している。 踏み切りを渡ろうとした時、留美はレールに車椅子の車輪をはめ込み、 自分一人渡ってしまう。 遮断機が降り、見つめる星野に留美は振り返りこう言った。 「信じてたのに!歩けるんでしょ!自分で歩いて渡りなさいよっ!」 星野はなんとか車輪をはずそうと試みるが、レールと車輪ははめ込まれて いて、動かない。 電車が近づいてくる。まだ星野は抜け出せない。 「いつまで芝居をしてるの!?さっさとしないと本当に轢かれるわよ!」 両足を事故で失った星野には立つ事さえ無理だった。 死を悟った星野は微笑み、優しい目で留美を見た。 いつの日か、かすんだ目でみた聖マリアを見るような目で。 星野の姿は、騒音と一緒に大きく暗いものに覆われた。 暗い部屋のベッドの側で留美は泣いている。 「なんでこんな事を・・・」 星野は、留美の持っていたダイヤを一目で偽者と気付いた。 母の形見は既に以前付き合っていた男にすりかえられていたのだろう。 その偽者を自分が絵を描いて稼いだお金で、 留美の分からないうちに、本物とすりかえようとしたのだ。 シーツをめくり、初めて義足もない、ありのままの姿を見る留美。 いくら後悔しても、懺悔しても星野はもう戻らない。 という話。僕は周期的にこの話を思い出す。 きっと、聖マリアが何かを”信じろ”と、もしくは”疑うな” と言っているのだろうか? -
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