語り
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2001年09月12日(水) 無印好きの女


大学時代の友人みつえ。

ちょくちょく「お好み焼き作ったから」と電話がはいり、遊びに行くと彼女の部屋は「いっそ店開けよ」といいたくなるほど、無印の商品が常にあふれかえっていた。
さらに、彼女はコスメおたくでもあった。
しかしある時、「あなたの化粧品は危険」という本(※うろおぼえ。わたしも読んだんだけど)を読んで、目覚めた彼女はいままで高い金をだして集めた基礎化粧品にさよならする決意をしたのだった。

「ずんちゃん、わたしの○○化粧品いる?すっごく肌や体に悪いンだけど」
「いるか、そんなもん」
「あ〜〜〜やっぱりね〜。もったいないけどすてよー。でね、わたし今度さ、無添加の石鹸でね、シャボン玉石鹸て買うんだけどいっしょに通販で買わない?」
「おー」
「ほんまもんの石鹸は、肌にええんよ。つっぱったりしないよ」
「買う買う」 

わたしは、その時以来、その石鹸を使っている。
最近は近所にも売り場ができて通販せんでもよくなった。

彼女とこないだ5月の大学の同窓会で、1年ぶりに会った時にその石鹸の効果を語りあった。彼女は見事にノーメイクで、そしてぴかぴかお肌だった。互いに誉めあい、おたがい自己満足した。

別れ際、「今度、絶対一回は遊びにきてね」というので、
「ニューヨークでも部屋中無印なんかどうか気になるから、いつか絶対いく」と答えたら、うへへ、と笑っていた。

発言は常にアホっぽいが、頭はいい彼女は英文会計士として、ワールドトレードセンターの隣のビルの会計事務所に勤務していた。
ダウンタウンで勤めてるとは聞いていた。
だけど、まさかずばり、あそこだとは思っていなかった。
報道されるのは日本企業の邦人情報ばかりなので、現地採用の、彼女の名前はでてこなかった。
足下が崩れるようなきもち、というのを思い知った。

そして、きのうの12時ごろ、「無事に生きている」との電話が彼女の実家に入ったと、今日、彼女のおかあさんに聞いた。
ほんとは9時に出勤してるはずだったが、研修で12時に出社する予定で、家にいたらしい。
なんとまあ、いのち汚いやっちゃ。
みつえ。
上記述べたことが、「最後に会った時の彼女との会話でした」、にならんで、ほんまによかったよ。
最後の笑顔が、「うへへ」じゃ、しゃれにならんからな。
っていうか、だいぶアホすぎるしな。
だけど、しゃれにならんかった場合のひとたちが、あのままになってて、わたしなんかより足下が崩れ落ちそうなキモチをしてるひとが何十万人もおるんやな、と思うと、
いたたまれない。そうとしか表現できないけど、いたたまれない。

りんちょ、ソーダ、心配かけてすまなかった。ありがとう。
そんなわけで、彼女は無事でした。
ともひろくん。ワイルドな笑顔をまた見せにきてね!


ぶな |MAIL