リリーフランキーの「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ 」という本があります。 私はこの本を今年日本へ一時帰国してすぐに購入し、少しずつ読み、途中まで読んだところで2ヶ月ほど間をあけまた初めから読み直し、ようやく読み終えました。
普段、あらゆる種類の本を内容わかってる?っていうくらい速読してしまう私ですが、この本だけはじっくりゆっくり時間をかけて読みました。
その理由は、実際、リリー氏の文章はかなり独特で面白いので一語一句漏らさず読みたい、という気持ちもありましたが、それよりも、購入する前からすでに、この本はリリー氏の亡くなったお母さんへ捧げられた本であり、そのお母さんとの闘病生活や死別の苦しみも綴られている事を知っていたので、読み進むのに自分なりの覚悟が必要だったのです。
リリー氏の綴る哀しみはダイレクトに私の哀しみに相乗し、読み終えた夜はしばらく眠れませんでした。 でも、哀しいだけではなく、安心した、というか。 家族であれ恋人であれ友人であれ、大切な人を失くした哀しみは誰かに救われるものではなく自分の中にあり続けるものなんだけれど、どうやらそれは普通のことらしく。 リリー氏はお母さんがいない事を今でも「淋しくてたまらない」といっていて、そうか、それでいいんだ、と思った、というか。 「早く哀しみから立ち直らなければ」とか思っていたけれど、ホントは哀しみから立ち直る時なんていうのはこないのかも知れない。だって、思い出せばいつでも泣けるほど後悔の連続で、後悔をしないようにと思ったら母の事を思い出せなくなってしまう。それでは、意味が違う。苦しい思い出も楽しい思い出も全部思い出してあげてこそ、母が生きてきた道(私が知るのはほんの一部だけれどね)なんだから。 だから、私は哀しいまま、淋しいままでもいいんだ。と、思った。
それから、リリー氏が物心ついた頃からのお母さんの事や家族や友人の事がリリー氏の視点から見て書かれているので、私にとって未知の男子の心理がちょこっと理解出来る感じでもあった。
生き死にを考える、というか、人生を考える、というか、自分の大事なものを考える、というか。 色々な意味でヒントをもらったような気がする。
って、私の感想はどうでもいいのですが・・・。
いつものリリーフランキー節も効きつつ、いつものリリーフランキーからは想像も出来ないような繊細な内容であると思います。
オススメです。 機会があったら是非読んでみてください。
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