愛より淡く
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2002年09月28日(土) 真夜中の真珠夫人  

「真珠夫人」のダイジェスト版を観る。お昼に放映されて、かなり話題になったドラマらしい(新たにゴールデンアワーに放映されるくらいですしね)ということで興味はあったのだけれど、私は昼に見られなかったので、ちょうどよい機会だと思って観てみた。

ビデオに撮って、みんなが寝てしまってから、こっそり観た。

お笑い路線とシリアス路線の境界を、微妙に危うく、行ったり来たり、はてさて、このドラマは、笑ってよいものなのか?泣いてよいものなのか?

と、最初のうち激しく混乱してしまった。

でも、なんかようわからんままに惹きこまれるように観てしまった。

金でヒロイン瑠璃子をものにしようとし、強引に結婚して我が妻にしたものの、ついに彼女の心もカラダも手に入れることができないままに、息子に殺されてしまった大和田伸也氏演じるご主人が、あまりにも哀れだった。お気の毒過ぎる。よよよ。あーめん。

ヒロインの貞操の危機を幾度も救う、義理の息子役の青年も、はかなげで怪しげな雰囲気をかもしだしていた。彼はまるで超能力者のように、義母であるヒロインの危機を察知して、二人の寝室に現れ、父のもくろみをことごとく阻止する。まさに神出鬼没!!ついには、日本刀で父をあやめてしまう。かくして父は、一度も思いを遂げられぬまま、息絶えるのであった。あーめん。


それにしても、やはりいちばん哀れなのは、ヒロインの元婚約者である直也の妻富美子だろうか? 富美子役の女優さんが、嫉妬に狂い哀れな末路をだとる女を熱演されていた。

夫にすがりつき

「私を抱いて、お願い抱いてよ、それがだめなら買って、私を買ってよ、たったの300円(昔のお金)よ、あたしけっこう人気あったのよ、りりぃって名前だったのよ。可愛いでしょ、お買い得よ、買ってよ」

と懇願する場面は、涙せずにはいられなかった。うぅぅぅ。かわいそすぎ。

彼女は、何も知らない方がしあわせだった。あれこれ詮索しなければよかったのに。

そうすれば直也の妻として平凡ながらも穏やかな毎日を送ることができたかもしれない。

あれこれ夫の過去の女関係?を探っているうちに

こともあろうに、冨美子は、その昔瑠璃子が直也に宛てた手紙を見つけてしまう。

「私は、必ずキレイなカラダのままであなたの元に参ります。それまでどうか待っていてください云々」

という手紙の文面を読み、わなわなと震え、めらめらと嫉妬の炎を燃やすのだった。ああそれが悲劇の幕開けとなる。

嫉妬の権化、復讐の鬼と化した冨美子は、自分が直也の妻であることを隠して、瑠璃子が経営する娼婦の館の娼婦となる。そこでとことん身を持ち崩してしまう。最後は自ら、絶望の果てに、その生涯にピリオドを打つ。あーめん。


「あたくしは、まだ、どんな男性ともふれあってはいません。本当よ。いつか貴方と結ばれる時がくるかも知れないと思っていたの

と、潤んだ瞳で、直也に打ち明けるヒロイン瑠璃子だった。

ああ、だけど、あなたがその純潔を守り通すために、いったいどれだけの人々が犠牲になり、運命の濁流に飲みこまれて無惨な末路をたどったことだろうか。


「清らかなフリをした、あんたが一番の悪女で毒婦じゃないか!!」

直也の妻がヒロインを激しく罵倒するシーンで、

「たしかにそれもそうかも」

なあんて妙にうなずいてしまった。そうなのよね、この手のタイプの女性は、本人にその自覚がまるでない分、いっちゃんタチの悪いたぐいの悪女なのかもしれませんね。

いわゆる天然ボケ、おっとちがった天性の悪女。もっともこの場合の悪女の定義は、決して性質の悪い女というようなものではありません。存在自体が結果的にたくさんの人を不幸にしてしまう女。そういうニュアンスでしょうか。





もはや、ふたりは現実を超越したところでお互いの魂と魂を激しく共鳴させているのであった云々


という、江守徹氏のナレーションも、冴えに冴え渡っていた^^。

ドラマを盛り上げるために流れるBGMは、エリックサティの「君が欲しい」の出だしにちょっと似ていた。

いくつかの過酷な試練に打ち勝ち、ようやく愛する人と結婚してしあわせに暮らせるはずだったのに、病魔に襲われ彼女は、この世を去る。


波乱に富んだ生涯だったけれど、瑠璃子さんはしあわせだったと思う。

自分の信念を貫き通し、余命あと三ヶ月のところまで純潔を守り通した彼女だが、最後の最後に愛する直也と身も心も結ばれて、悔いのない生涯だったろうと思う。ギリギリセーフという感じ?でも、間に合ってよかったよかった。

うらやましい限りだ。

それにしても大和田伸也さん、中年男の悲哀と純情を、時代劇がかったセリフ回しで、見事に演じ切っておられた。

が、なんともいえず、おかしかった。あはは。思い出し笑い。真面目に演じはれば演じるはるほど、おかしさがこみあげてきてどうしたらええのかわからんかった。すみません。でも、ええ人やった。どんなに悪役を演じようとも、その人のよさがにじみ出てしまうような感じだった。

日本刀が出てきた時、水戸黄門の「格さん」役時代を思い出してしまったりした。


そうそう、名高達郎さんが、思いっきり老けてしまわれていた。あの老けようはいったい? 苦労しはったんやろか、などなどドラマの筋と関係ないところに関心がいってしまった。


あまりにわざとらしくて、そんなアホなことあるかいな、と思わずツッコミたくなるようなシーンもたくさんあったけれど、

たいへん楽しませてもらえた。

横山めぐみさんといえば、「金色夜叉」のお宮さん役が好きだった。BEGINが歌う主題歌もよかったなあ。「恋しくて♪」だったかな?


さて、ただいま午前2時25分、そろそろ寝ないと。

究極の選択です。好きな人のカラダとココロ、どちらか一方しかもらえないとしたら

あなたはどっちを選びますか?







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