
戯 言ノ源
―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰
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| 2007年06月18日(月) ■ |
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| 楽しみのワルツ。 |
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映画好きの兄上様に付き合わされて見た日曜ロードショー猿の惑星。新しいやつだそう。 しかしまぁ正直全っ然期待していなかった訳ですよ(ひどい)。もうまるでね! ところがどっこいラストが素敵過ぎる。御存知の方は多分自分が物凄い好みだと判って頂ける(笑)。 若干辛辣な事を言っている気もするので純粋にファンの方はこの先見ない方が良いと思われます。
個人的に、そも現状の地球における人類の対他種族への扱いからして憎々しく思っているので立場が猿に変わろうがいらっとしたのはしたんですが、でも結局そんな事言っても何処かで他種族を下に思い猿も同様に下等と見做しているから腹が立つのかもしれない。所詮か弱い人間ですもの。
そんで主人公、レオ? 呼ばれる事もあまりなく且つ自分としては魅力的でもなかったので名前すら覚えていませんが(酷)、兎に角この方少しも主人公らしくない。 着地の仕方が下手とかそういう次元ではなく(だったらいやだよ)、例えば自らが助かる為に簡単に人質を取ってみたり(ダークヒーローじゃ無いんならタブーじゃないか?)(恰好よさを伴うなら兎も角もひたすら助かりたい一心でというのが、本能だろうけど主役としてどうかな)、自分の科学力が優れていると判るとどうもこの星の人類を下に見ている気がするし(見方の問題もあるでしょうが使役する態度が)、辿り着いた地で現状をすぐ理解出来る対応力はお見事ですが、事実に落ち込む気持ちも判りますが、結局自分が望む帰還が果たせない事が一番のネックだったんじゃなかろうか。 これは難癖付ける見方ですが、多人数での脱走というリスクの高い事をしたのも、一緒に居た人達を牢に閉じ込めて置いたり或いは勝手に逃がしたら余計な騒ぎが大きくなると踏んだから渋々連れて行ったんじゃないかとか。 勘繰りはさて措いても自分の育てていた猿が終わりのきっかけになるや手懐けて自らの優位性を見せつけてみたり、と思えばその猿が乗ってきた船に二人は乗れなかったのか搭乗者を星に押し付けて乗り込み、しかもその際ヒロイン的立場なんだろう二人共を垂らし込んでいるのはこれ、どうなんだ。 確かにどちらが明確にその位置付けなのか見ていて判りませんでしたが、一夫多妻制じゃない国に生まれた自分にとってはちょっと両ともいくのはなぁ、とか。 別に俺は両方愛してるんだ! ってのなら構いませんがあの人絶対二人共大して好きじゃない(惹かれてても種族生存本能とかで、じゃないか)、少なくとも猿のお姉ちゃんの方はあっちが熱烈に好意を示しているからだと思ってみたり。 彼からの口付けは彼女に送られたけれど挨拶程度の意味合いじゃないか? パツキンねーちゃんとの方が熱烈っぽかった。 しかしだ、それも全ては吹っ飛ぶ。さっさと帰ってきてみた地球では自分が宇宙船の操縦席の方に閉じこめた筈の、つまりそれが最大の過失となり猿の惑星で事を収められた最大の理由である科学力も敵方が身につけているとあっては太刀打ちの仕様が無い。 その最後、いいなぁ。
映画としては民主性が勝った方がメッセージとしてエンターテイメントとしていいんですしょうが惑星における終戦も相手側が神秘性を信じていたからであり、彼の功績、というのも疑問であって。 ですからこのまま彼が自分の家に帰りまったりするというのも頂けなかったですから、この最後によっていい映画だったと思えます。 数千年時間の過ぎた惑星に行けたからといって同じ場所を通れば元の場所に戻れるというのは、理論上の可能性はあっても成功の確率としてちょっと都合良過ぎるんじゃないの? とも思っていたのでそういう意味でも実に大団円(違うと思う)。 いや、それともあれか。時間軸的にはあってるんだけどレオ? が過去を書き換えたからその歪みとして現在が出たのか。 設定やストーリーとしては自分は好みだけどキャラ的に愛せなかったかな、と。それは結構致命的。 唯一好意的なのは猿のお姉ちゃんの従者です。いいよな、軍人崩れで実直なタイプって。
なんて頂けない事ばかり言ってますが終わりよければ全てよし、始めの渋々見ていた気持ちはすっかり覚めて一気にこれだけ綴るくらいには楽しかったですよ。 せめてもう少しでも主人公が魅力的だったら良かったんじゃないかなぁと主観。
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