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―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰

2007年06月14日(木)
成長させる為の痛みはなく。


のんびりと、したい事だけをして過ごしている。それはとても気ままで、齷齪働く人から見ればなんと堕落し且つ羨ましいものだろう。メリハリの無さに衰えてみても汗水垂らしている時だって自分で見つけなきゃそんなもんない。
そうして然して忙しくも無い日々を送っていても、苦しかったものは苦しい。
少し前、沢山の人と知り合った。入口となってくれた方の人好きというのもあるし、苦手としていても人間と生まれたからには多少の繋がりや付き合いは心得たもの。
なんていうと素直じゃないけど、楽しかった、のだと思う。こんな自分でも、人見知りばかりで怯えてばかりで人間不信が鎧着てる自分でも、人様との交流に足ると思えていたのだから、楽しいだろう。
其々素敵な理念や思いをお持ちの方で、思想を発表する場所も各自。創作を始め日記やら何やら、悉く目を通したいのは単なる自分の気性。まだ知らない世界を貪欲に求め、新しい刺激に身を震わせた。
だけど許容量ってもんがある。限界値を自分では掴み損ねたけれど、沢山の、人と知り合った。自分なんかと言葉を交わしてくれるような尊い存在が、そこに到るまでを知りたくなったのだ。
何かの奇縁で巡りあった、きっかけ一つで近付けるならばただ貪欲に、そう、ただ貪欲に、今出来る手段の中で出来得る限りを手中に収めたいと。そんなところでまでコレクター気質を持ち込まなくたって。
多量の娯楽をこなしてきた時間の殆どを費やし私生活をとことんまで削って少しでも話についていけるよう、遅れて出逢った自分でもその場に当たり前のように居られたらと、嗚呼、こういうのが思春期特有の話題掻き集めに発展するのかもしれない。
斯くて費やした時間分さんざ積み上げた漫画やビデオ、それでもまだこなしきれない量。人一人を知るのさえ大変なのに、限られた情報といえど、幾つもの幾つもの存在を知ろうなんて、はなから無理だったんだ。
それも好ましく思ったからじゃない、そうじゃなくて、自分の保身だとか、その場に居る切符のような意味合いで、求めていたんだから、芳しく無い進行状況も又一つ。
結局対処しきれない事実が現実に及ぼすまでの間で、驚く程疲弊していた。それは単純に自分のペース配分ミスでしか無いのだけれど、無理なのだと悟った瞬間、じゃあ、此処にはいられない、と。
全てを知らなきゃいる資格が無いとか、そうじゃない。個々との触れ合いは有意義だったと今でも思う。だけど、そうじゃないんだ。
そういう風にしか思えない段階で、もっと単純に楽しいとかもっと話したいとかじゃなく、情報収集の目的で、側にいる事の浅はかさ、浅ましさ。その人に対して失礼だし、創作や考え事を義務でこなされたって誰も何も得なんて無い。自分にしても、ちっぽけな自己満足に、過ぎないのだからして。
丁度時期的に、抜け易い状態が作られたというのも後押しして、一身上の都合で勝手に窶れ一身上の都合で勝手に離れた。使われた形になってしまった謀反は、それが故に、行なうまでに葛藤した本人や周囲、つまり元々の入口さえぶち壊してしまったけれど、それだけが理由では無いんだろうけど、保っていた筈の殆どを失ったけれど、後に残った現実の処理すべき、というと容赦なく誤解が生まれるな、こなしたい物事ばかり山積しているけれど、悪くない。
痩せ我慢一つ、現状もあのままだったとしたらより一層の負荷が迫っていたのだと考えれば、ましだとは思える。
根本的に、無理な事だってあるんだ。先ずその性根がどうにかならなくちゃどうにもならない事だってあるんだ。無理してどうこうしようとか、あわせてついていこうとか、慣れない事ばかりするから問題ばかりが積みあがっていく。
それは、沢山を傷つけたのかもしれない。懇意にしてくれた人も、近しいと感じていた人も、これからお近付きになる人も、可能性ごと丸ごとぶち壊して台無しにしたのかもしれない。
だけどそんな風にしかなれないのなら、それしか、なかったのなら、きっとどうあがいても、そうにしかならなかった。仕方が、無かったのだと。諦めるのは容易くて、だから物凄く悔しくて、むかついて、一番は、自分に。
尻拭いも、出来やしないよ。そんな、難しい事。その後も絶えず人を傷つけてばかりのくせに。


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