原初

羅列 回帰



―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰

2007年04月11日(水)
もういっちょ、ふんばり時。


カヲル君、そこにいたの……

泣き腫らした笑顔、恍惚と向かう心、置いていかれる躯と世界、その名は現実。
存在自体がであり、象徴としてであり、尤も強く刻印された事実と場面が死である事からも、彼にとっても、大勢にとっても、カヲルというヒトは死。そのものなのかもしれない。
喜びのまま胸に飛び込み彼はそのまま死の意識へ向かう。と同時に連れ立って世界も帰依してゆく。
溶け合う中で人に言葉に沢山に触れて、やがて彼は夢の終わりを望むけれど、その象徴に選ばれたのは誰よりも拒絶し彼の世界でも拒絶し願った反応も拒絶である、何よりも拒絶が恐ろしくトラウマの彼にとって拒絶そのもの。
それはいいんだ。それも一つだ。好みの道だ。
ただ、彼にとっては、カヲルは死や安らぎ、母の胸元、帰りたい家、ぬるま湯、甘やかすだけのものだったのかと。
安らぎや、帰還本能は、愛される本能としてこれ以上無い最上位かもしれない。
それでも、こわくても恐ろしくても憎くても涙しても本当の気持ちだと従った世界に、きっとカヲルはいないんだ。
つらい時、壁にぶち当たり、どうしようと思い悩み、立ち止まる時思い起こされる脳内の偶像であって、はじめてすきと云ってくれた、過去のヒト。
望まれるって、いい事かもしれない。
でも、共に生きていく未来予想図に名前さえ現れないそれは、本質のようで、ただただ寂しいと。
わがままに過ぎない。受け入れた上での。
おかえりなさいと呼ぶ彼女。同等か同質であり、その名の通り帰る場所であり、進む先じゃない。
事実で、現実で、夢の、終わりにある。


原初 羅列