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―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰

2005年05月22日(日)
まるで昔話を語るかのような。


彼女の事を思い出すとき、ふとそんな気持ちになってしまう。
という事は、己にとって彼女とはもう、過去、という事なのだろうか。
それはなんて当たり前で、けれどなんて、失礼なのだろう。
少なくとも彼女にとっては、今でも私は、現在なのだろうに。

まだまだ、幼くて。今よりももっと、幼稚であったように思う。
歳相応云々ではなく、精神的に見て矢張り子供であったと。
だからこそ、彼女を利用しようと、思ったのだろう。
利用という響きが果たして適正なのかは判らなく。しかし他に例えようも無い。
出会いといえば些細なもので、極一般的なものであるとも。
ただ、懐いてくれたから。来るもの拒まず。折角だからと、基本はその程度。
一緒に話していて楽しかったのかと聞かれれば、また答えはいろいろと変わるもの。
青臭い悩みとか、相談される事で優越感に浸っていたのかもしれない。
弱みを握る事で、自分が優位なのであると、思っていたかったのかも、知れない。
だから簡単に突き放して、手放した。
わかっていたから。自分が愚かである事も、彼女が、かわいそうで、ある事も。
本当に、失礼な話だと。結局他人の価値なんて、そんなものだ。私にとって。
突きつけられた現実ぐらい、簡単に飲み込んでしまうから。
彼女がよく私を慕ってくれたのだとも、思う。
始まりは、簡単。終わりも、簡単。傷付けるなんて、いとも容易く。
とても優しい子では、あったから。
気にして気にかけて、追い詰められて思い悩んで。
たかが私の事だというのに、そんな事の為に時間を使って頭を使って。
今もまだ送られてくる年賀状。
始めの年は、まだ一緒にいた。
突き放した翌年は、びっしりと文字が書かれていた。
今年のは更にそれに、輪をかけて。
真面目さとか、気性とかを伺える。
それに全く返す気の無い、辺りもやはり冷たいのだろうと。
だけどどうしたって、筆を取る気にはならない。その資格さえ、とうに無くした。
最近知った、今の居場所。まだ彼女は、探している。
馬鹿らしい話だ。と思う。
みっともない事だ、とも。
仕方の無い事をしていると、窘めてやれば、いいだけなのに。
それさえしてやらない、それは残酷。
見つからない事を祈る。
見つけられない事を願う。
どうせまた同じ事をそれも平然と、繰り返してしまうのだろうから。
それになんとも思わない日々を、相も変わらず続けられるだろうから。
普通に手懐けて、騙して、傷つけて、捨てるんだ。また。
懐柔がもっと難しいものであればよかったのだ。
そうして他に責任を求めて、逃げ続ける事で安寧を得ようとする。
それでもまだ彼女は、探している。
見つけられている事も知らず、見つめられている事さえ気付かず、
傍にいこうとしないで匂わせたままの。誰かさんを。


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