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2005年03月22日(火) なつかしきドレスデン

 ずいぶんご無沙汰しました。
 もう春ですね。

 メールともだちのDanaさんから頂いたメールに
 なつかしい「ドレスデン」の地名を見つけて、
 むかし書いた日記の文章をさがしてみました。
 
 季節が1ヶ月ずれていますが、
 再録してみます。

 Danaさん、4年前の日記が残っている場所を
 教えてくださって、ありがとうございます。

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 ☆2001年4月22日 指揮者ジュゼッペ・シノーポリ氏を偲ぶ

 20日夜、イタリアの指揮者ジュゼッペ・シノーポリ氏が亡くなりました。

 ベルリン・オペラでヴェルディの歌劇『アイーダ』の指揮中に倒れ、そのまま帰らぬ人となったのです。シノーポリ氏は、ドイツ・ザクセン州のドレスデン歌劇場管弦楽団の首席指揮者。精神分析医でもありました。

 昨年秋に私はドイツを訪れ、ゼンパ・オペラ(ドレスデン国立歌劇場)で、はじめてドレスデン歌劇場管弦楽団が演奏する歌劇『イエヌーファ』(ヤナーチェク)を聴きました。それは表現する言葉がみつからないくらい素晴らしいものでした。

 おりしも今日は歌劇『トゥーランドット』(プッチーニ)の鑑賞日。
東京フィルの演奏を聴きながら、シノーポリ氏を偲ぶことにします。

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 本日も一篇の詩をどうぞ・・・

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 暁穹(げいきゅう)への嫉妬

薔薇輝石や雪のエッセンスを集めて、
ひかりけだかくかゝ″やきながら
その清麗なサファイア風の惑星を
溶かさうとするあけがたのそら
さっきはみちは渚をつたひ
波もねむたくゆれていたとき
星はあやしく澄みわたり
過冷な天の水そこで
青い合図(wink)をいくたびいくつも投げていた

  /宮澤賢治 『春と修羅 第二集』より

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「サファイア風の惑星」とは土星だそうです。
賢治は星のことをよく詩や童話に書きました。
『銀河鉄道の夜』、『双子の星』、『よだかの星』。

「それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。そして自分のからだがいま燐(りん)の火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。
 すぐとなりは、カシオピア座でした。天の川の青じろいひかりが、すぐうしろになっていました。
 そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
 今でもまだ燃えています。」

  /宮沢賢治『よだかの星』より

人も星になれるでしょうか。
なれるとしたらたら、その青い星を見つめて
その人のことをいつも感じていられるのに・・・

妙に感傷にひたってしまった春の1日でした。

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 宮沢賢治の童話では『やまなし』がいちばん好きです。


  

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夏音 |MAILMy追加