悪魔城とは何処だろう。 母や父の会話から聞いた名ではあった。 けれど、それが何処にあるのかまでは聞いた事は無かった。 森の奥深く。 獣やモンスター達の鳴き声がする。それに幼い妹は怯え、しがみついてくる。 何処に向かえばいい? どっちの方角にあると言うのだろうか。 振り返れば遠く、家が燃える赤い灯りが見える。 あの炎のなかで父と母は燃え尽きた。 何故。 父と母は……いや、俺達は殺されなければならないのだろう。 何もしていなかった。ただ静かにあの家で暮らしていただけではないか。逃げる最中聞こえてきた人々の声。 美しかった母。 優しかった父。 どうして。 それだけが胸の中をぐるぐると出口の無いままに巡っていた。
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