せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2009年11月16日(月) 講演会の準備とひげ剃り

 11月16日(月)
 一日、木曜の講演会の準備。
 ついでにヒゲを剃った。
 ずいぶん久しぶりな気がするけど、ちょうど二ヶ月ぶりだ。
 「根岸の一夜」が終わってから、伸ばし始めたんだった。
 白髪でヒゲがない顔というのは、初めて。
 いつ黒く戻すかをぼちぼち考えないといけない。
 ただ、これまで何度もしてきた金髪とは違うおもしろさがあるので、なんとなく先延ばしにしてしまっている。
 ずっと白髪をキープするのはたしかに大変で、この間カットしてくれた田中さんの知り合いは、綿棒で処置しているとのこと。
 もう一度、思い切って、ブリーチしてみようかな、ダメもとでとも思いつつ、gaku-GAY-kaiの「贋作・マイ フェア レディ」の教授役はどうしようかとも。
 まあ、しばらくいろいろ考えてみよう。


2009年11月15日(日) 俳小養成所中間発表会とワークショップ2日目

 11月15日(日)
 高校の演劇部の後輩、シダくんから案内をもらって、彼が通う俳小の養成所の中間発表を見に行く。
 演目は何?と彼に聞いたら、芝居をやるのではなく、歌とダンスと日舞とセリフですとの返事。なんだかおもしろそうだ。
 大塚駅からしばらく歩いて俳小のアトリエへ。
 この間の「月 白き水晶の夜」の劇読みに出演してくれた斉藤真さんに御挨拶。斉藤さんは俳小の代表だ。
 地下のアトリエは、こじまりとしたいい空間。
 ダンス、歌、セリフが第一部、第二部は日舞と太鼓というプログラム。
 ダンスも歌も、きれいに踊る、歌うということを第一にするのではなく、セリフを言いながらということを重視しているように思えた。
 とにかく大変そうだった。立ち位置やいろいろな動きもとても複雑で、ライブ感あふれるもの。その段取りを追いながら、歌いまた踊るというのはとても大変なことだ。
 でも、俳優として、同時にいくつものことをするというのは、当たり前のことなので、養成所の一年生からまずはそれをどんどんやらせているというのは、とてもすばらしいと思った。
 終演後、シダくんに挨拶。二月の卒業公演も楽しみにしてると伝える。
 帰り、ふっと都電に乗ってみたくなり、向原から雑司ヶ谷へ行き、副都心線に乗り換えるという大回りをして、ワークショップの会場へ向かう。
 フライングステージワークショップ2日目。
 昨日に続いて、同じメンバーと。
 自己紹介は昨日してしまったので、昨日から今日までに何があったかを話してもらう。
 昨日よりずっとお互いの距離が近いのが感じられる。
 シアターゲームをいろいろしながら、昨日との違いはなんだろうと考えてもらう。
 1日で急にできないことが出来るようになったということでもないのだけれど、何かが違う、何が違うのか、どうして違うようになったのか。
 その後、今日は一対一のやりとりということで、「Tea for two」の場面を読んでみる。一年に一度のデートを重ねる二人のゲイのお話。4場の母親へのカミングアウトの場面。
 相手に、自分の要求を伝えるということについてのアプローチをいろいろ。
 シチュエーション(相手に望むこと)をいろいろ変えて、エチュードをしてみる。
 思いを伝えるより、拒否する方がたやすいのはなぜだろうということを話し合う。
 だったら、どうすればいいのか、どういうふうに伝えることが大事なのかということも。
 最後に、もう一度、「Tea for two」の場面を読んで終了。
 もっちゃんの提案で、打ち上げに飲みに行こうということに。
 参加者全員が居酒屋へ移動。
 何度もワークショップをしてきたけれど、みんなで飲みに行くのは初めて。
 芝居の話。昨日今日のワークショップの話で盛り上がる。
 どうもお疲れ様でした。


2009年11月14日(土) フライングステージワークショップ1日目

 11月14日(土)
 久しぶりのフライングステージのワークショップ。
 参加のみなさんには、僕が書いた「Tea for two 二人でお茶を」の場面を使いますとお伝えしていたのだけれど、急遽変更。同じく自作「Four Sesones 四季」の場面を使うことにした。
 自己紹介から初めて、シアターゲーム。そして、テキストへ。
 「相手に伝える」ということをメインにいろんなエクササイズをしてみたいと思っている今回のワークショップだけれど、今日は、一対一のやりとりではなく、みんなでつくる「チーム感」のようなものをいろいろ考えてやってみることにした。
 テキストで使ったのは、「Four Sesones」のクリスマスの場面。ゲイばかりが住んでいるアパートの中庭を舞台にしたクリスマスイブのゲイ達のお話。
 演劇の経験はいろいろなメンバーが、今ここにいることを大事にしてくれていたのがよくわかる時間だった。
 明日も同じメンバーがそろって参加してくれるのもとてもうれしい。
 帰り、参加してくれたエリさんと一緒に地下鉄で途中まで。楽しくおしゃべり。


2009年11月09日(月) 台本打ち合わせと乾杯

 11月9日(月)
 富士見丘小学校台本ミーティング
 篠原さん、相馬くんと富士見丘小学校の卒業公演の台本打ち合わせ。
 今月中に書き上げて、来月の第一週の授業は「読み合わせ」の予定だ。
 前回の授業をふまえて子供たちが書いてくれた作文をもとに、篠原さんがプロット案を書いてくれた。
 メールのやりとりで相馬くんからのおもしろいアイデアも加わっている。
 そんなもろもろを検討する。
 これでいけるのかどうか。
 じっくり話して、じゃあ、この方向でというのが大体決まった。
 一軒目の喫茶店が閉店してしまったので、二軒目をどうしようかといことになったのだけれど、居酒屋でわいわいしゃべってみてもいいだろうと、三人で乾杯することに。
 気持ちは、打ち上げならぬ、打ち入りか。
 芝居のことをあれこれ話し、それでも終電になる前にちゃんと解散。


2009年11月07日(土) 唐ゼミ☆「下谷万年町物語」 と28年前

 11月7日(土)
 浅草の花屋敷裏のテントへ、唐ゼミ☆「下谷万年町物語」を見に行く。
 28年前にパルコ劇場(当時は西武劇場)で初演された舞台の再演。
 高校一年生だった僕は、たぶん学生服のまま見に行ったんだと思う。
 初めて見た唐十郎、始めた見た蜷川幸雄演出、初めての西武劇場だった。
 開演前、演出の中野敦之さんに御挨拶。その後、整理番号順に並んだら、後ろの人に「吉祥寺の印象に出てましたよね」と声をかけられる。「おもしろかったです」と言われて、お礼を言う。なんだかとってもうれしかった。
 お話は、唐十郎独特の世界。昭和二十年代の下谷、浅草を舞台にした少年と青年とダンサーとオカマたちの物語。
 28年ぶりに見た「下谷万年町」は、なんだかもうすべてがなつかしかった。
 当時、登場する少年の視点で見ていた物語が、冒頭と最後に登場する二十数年後の中年の視点で見えてきた。
 当時の唐さんが感じていただろうなつかしさが、そのまんま今の僕には感じられるようだった。
 パルコの大きな空間とは違う、このテントを2つつなげた空間も、この世界には合っていたように思う。
 「エンジェルス・イン・アメリカ」が同じアッカーマンの演出なのに、セゾンとtptでは全然違ったように。そして、とても狭くてシンプルなベニサンピットでその作品の世界がはてしなくひろがったように。
 役者さんたちはみんなとっても生き生きとしていて、見ていてとても気持ちがよかった。
 中でも、ヒロポンの売人白井役の杉山雄樹さん、軽喜座座長を演じていた禿恵さん(この役は初演では三谷昇さんが演じていた)がすばらしかった。
 ラスト、思いがけない屋台崩しで装置がバラバラになり、テントの後ろが開くと、そこには、いつのまにそんなものが建ってたんだろうというような、ネオンサインのかたまりで出来たラブホテルを借景にして、登場人物達がこちらに向かって手を振っていた。もう泣けてきてしまって困った。
 終演後、また中野さんに挨拶。いいものを見せてもらいました。
 まだ高校生だった自分が28年後に同じ芝居を見て、こんな気持ちになるなんて・・・と言葉にならないのだけれど、とんでもなく胸がざわざわする。
 帰り道、子供の頃からの思い出がいろいろある浅草の街、舞台に登場する瓢箪池のあっただろう場所を通って帰る。


2009年11月06日(金) 劇団朋友「百合の季節」と老けの芝居

 11月6日(金)
 劇団劇作家の相馬杜宇くんが台本を書いた、劇団朋友の「百合の季節」を見に、俳優座へ。
 おばあさんばかりがいるアパートへ、一人のプレイボーイなおじいさんがやってきて・・・というお話。
 舞台は、大きなテーブルと、それをとりかこむような椅子がある庭の一杯道具。
 ベテランの俳優さんたちが、きっちりと芝居を見せてくれるのだけれど、一番、感動したのは、場面転換の様子だった。
 暗転をしないのは、物語の流れを切ってしまわないためかもしれないし、暗転中の移動は、年配の俳優さんたちには大変だろうという思いやりかもしれないが、おかげで芝居の本編とは少し違う、俳優さんたちの姿を見ることができた。
 「おばあさん」という役どころなわけだけれど、みんなてきぱきと動いて(本編の間もそうなんだけど)、小道具の出し入れをしている様子が、なんだかとっても素晴らしいことに思えた。
 そこだけ若返っているというわけでもないのは、ことさら老けの芝居を作っていない、自然体な役作りなんだなあと思ったことが一つ。年寄りの役だからって、小走りしたって全然平気という覚悟が、とてもさわやかだった。
 そして、限られた時間の中で適確に動いていく女優さんたちの姿はとんでもなくかっこよく見えた。
 いいものを見せてもらったなあと、うれしい気持ちになる。
 終演後、同じ回を見ていた藤井ごうさん、青年劇場の福島さんに御挨拶して、お先に失礼する。
 六本木の駅に下りてしまうのはもったいなくて、乃木坂までのんびり歩いた。


2009年11月05日(木) ヘアカットとKAKUTA「甘い丘」

 11月5日(木)
 昼間、髪を切った。
 このあいだと同じ渋谷のお店で。
 六月さんの髪型をお願いしたときに、「本番が終わったら、また来ますね」とお願いしていたんだった。
 すぐに黒くはしないで、しばらく白髪でいたいので、なんとかおかしくないようにとお願いする。
 アンバランスだったスタイルが左右対称になって、少し頭が軽くなったような気がする。
 カットをお願いしている田中さんに、舞台のことなど、あれこれおしゃべりする。
 夜、高山奈央子さんから案内をもらったKAKUTA「甘い丘」を見にシアタートラムへ行く。
 山の上のサンダル工場の女達のお話。
 自分の舞台が終わってすぐの舞台は、なかなか入り込めなくて、ほんとうならもっと楽しめたはずなのに・・・と後でくやしい思いをするものだけれど、この舞台は、とってもとってもおもしろかった。
 とてもきちんと書かれた本で、魅力的な俳優たちが、ぞんぶんに芝居をしていて、もうどの瞬間も見応えがあって、すばらしい。
 なんでもない場面で涙が出てきてびっくりした。
 作、演出と俳優の力の充実ぶりは、かつての東京サンシャインボーイズみたいだなと思ったりもした。
 帰り、少し遠回りをして帰る。いい芝居を見た後の僕のたのしみ。いい夜。


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