インコの巣の観察日記
indice de diarioanterior


2006年06月10日(土) お知らせ

<お知らせ>


シーズンオフにも入り、サイトの改装を行います。






と言うことで、殆ど全てのコンテンツを凍結、リンクを切りました。


ここの更新も暫くは止まることになります。

全てを整理して、新しいシーズンが始まる時には

何とか形にする予定です。






シーズンオフ中、何もないのは寂しいので。

私の大切な人との思い出を少しずつ語っていくことに致しました。

貴方と出会えた奇跡と言う名の幸せ

大好きなあの人のことを、語って行きたい。














2006年06月09日(金) 友人たちへの手紙

今朝、イロイロなニュースサイト見て、改めて「幕、下ろしたんだ」って思い知らされました。




あの人ね、実はBarcelonaに帰ってきた頃に

「自分のキャリアは34歳で終えようと思うんだ」って言ってたんです。

だから...どこかで予感してた。

ただ、私がもう少し彼を見ていたかったのです。もう少しだけ。





















幸せでした。こんなに幸せなファンって世界中探したって他にいないよ?って程に。

札幌に行かなかったこと、後悔してるって日記に書いたけど、

でも...幸せだったし、悔いはないです。

私は胸張って笑顔で見送れる。

沢山の有り難うと、沢山の大好きと一緒に。







































ホントはすぐにでも皆に電話して、

張り裂けそうな心を助けて欲しいとも思ったけど、

でも言葉にするのが怖かったのかもしれません。





数日置いて、少し落ち着きました。完全とは言えないまでも。




新しいシーズン、私はきっとまたBarcelonaへ行くでしょう。

あの場所が、あの街が、Espanyolが大好きだから。


















































想い出は何年経っても色褪せない。

愛情は何年経っても溢れてくる。





























Mauricio Pochettinoに出会えた奇跡に、今、心から感謝しています。

彼が縁で出会えた沢山の人たちと、

その方々から頂いた好意と厚意にも感謝しつつ、

彼のことを見送りたいと思います。



































有り難うMauricio。

貴方を見てきた10余年と言う時間、その全てが私の誇りです。

お疲れ様でした。




2006年6月9日 
Sawako



























































































































































































大好きなMauricio...私の大好きなMauricio。

やっぱりあなたは最後の最後まであなただった。


以前、何度か私は言ったはず。

「あなたの、その、聞き分けの良さが...大ッ嫌い!」だと。



いつだって、Mauricioの優しさが、聞き分けの良さが嫌いだった。

そして、今ほど嫌いだと思ったこともない。

あの人のEspanyolへの愛情が...これほど哀しいと思ったことはない。




Mauricio Pochettinoは最後まで、Mauricio Pochettinoだった。




2006年06月07日(水) 6月7日、たとえ何年経っても...

ヴァンゲリス一世一代の名曲はやっぱり『炎のランナー』でしょ??と、友達が言った。

でも、私にとって彼の一世一代の名曲はやっぱり2002年W杯のAnthemなのだ。




会社への行き帰りには、いつもiPodで適当に音楽聴いてるけれど、

最近は毎日5回以上、このヴァンゲリスのAnthemを聴いている。

この曲を聞いて浮かんでくる景色は...開幕戦のフランスとセネガルでもなければ、

埼玉スタジアムの大歓声の中ピッチに現れた、青と赤の戦士たちの姿でもなく、

やっぱ...Batistutaを先頭に、怖いほどに集中した瞳をして現れた、

濃紺を身に纏った11人の姿なのだ。鹿嶋でも、札幌でもなくて...宮城なのが泣ける(苦笑)











あの日は金曜日だったけれど、今年は水曜日なのか...。

今日は6月7日だ。また、この日が巡ってきた。




昨年は日記もBlogも結構アッサリした書き方だったけれど、

今年はイロイロとまた、心に溢れてくるのは...『4年』が経ったからだろうか??





















何年経っても、やっぱり忘れることはない。あの日のことは。あの日の私のことは。

あの日は...残業なんてしてられない!!と、6時には書類を片付けて、家路へとついた。

キックオフの8時に間に合うように、急いで晩御飯の用意をして...そして自室のTVの前でその時を待った。



あんなに楽しみにしてた試合だったのにな。

残業もせずに、意気込んで帰ってきたのにな。

なんで、なんで、こんなことになっちゃったんだろう...。


















何年経っても忘れない。夜空の見えないピッチの上で、天を仰いだ彼のことは...。



























今はもう閉めちゃった、以前のサイトに置いてた掲示板。

しばらくショックから立ち直れそうにないよ...


この言葉で始まる私の書き込み。ログが示す時刻は、2002/06/07 22:39


ポチェのこと、誰も責めないだろうし、彼自身もギリギリのところで

精一杯プレーをしての結果だから、だから、何もこだわってないだろうし、

引きずってもいないと思う。それは判ります。

でも...でも...私自身が引きずってます。


今大会、初めて泣いた。試合後、悔しくて、悔しくて、

ポチェの顔見たら...ポロポロ涙がこぼれてきた。

今はまだ、ちょっと気持ちの整理がついてません。頭と心を冷やしてきます。








でもね...気持ちの整理なんてつけなかったんだよ。

これを書いた後に、1本の電話を受けたから。

















「どうしてるかな...と思って。」

そう言ってくれたのは、かつて私にPochettinoのPSG行きを最初に教えてくれた人、

あのMadridからのメールを送ってくれた友達だった。







彼女の声聞いたら、我慢してたものが全部溢れてきちゃった。

「悪くない、悪くないの。Pocheは何も悪くないんだってばぁ〜〜〜!!」

そう言って大泣きしたこと、今でも覚えてる。






「Pocheは悪くないですよ。だから...また笑ってください。

笑ってPocheたちを応援してあげてくださいね。

だってさわこさんの大好きなアルゼンチン代表じゃないですか!!」



あの時彼女がかけてくれた言葉も覚えてる。きっと忘れない。






















確かに、あの日は遠くへ去りつつある。

だって白と赤と紺を身に纏った人たち...

イングランド代表の姿はぼやけ始めてるから。


誰がいたのか、どんなプレーをしたのかは、

もう記憶の彼方へと去りつつある。







思い出すのは、外野やファールフェンスに張られた

セント ジョージ クロス...白地に赤い十字が、ぼんやりと思い浮かぶのみ。






でも、私は覚えてる。

Albiceleste...白と空色のCamisetaを身に纏った大好きな人たちの姿を。

彼らが居たことも、彼らがどんな風に闘ったかも、ハッキリ覚えてる。

















あの日は遠くへ去りつつあるけれど、私は未だ捉えられたまま身動きが取れないで居る。





























あの時感じたように...やっぱり彼に『4年後』はなかったな。

最初で最後の晴れ舞台。何で応援に行かなかったんだろう。

何で、私...札幌へ行かなかったんだろう。

エアチケット代なんて...頑張って残業すれば、簡単に工面できたのに。

もう、終わったことだから、諦めようと思ってたのに。


4年も経って、ちゃんとケジメつけられたと思ってたのに。

それでも...今更ながらに後悔してる。





































それにしても...W杯でのMauricio Pochettinoは史上最高に男前でした(笑)

彼のキャリアで1番だと言えるほどに。

それほどに、あの時のMauricioさんは美しかった。

だから...それだけ高いモチベーションで挑み、彼自身非常に楽しみにしていた舞台で

あんなことになって...悔しくて未だに忘れられない。彼にとって生涯ただ一度の舞台だったから。

















そんな私の史上最高に男前発言に友人は...


「そう思う人が日本にひとりしかいないというのがなんとも(苦笑)」と返事をくれた。

ウフフ...日本に1人、上等じゃないの!!(笑) 

えぇ、それでこそファン冥利に尽きるってものよ!!(あれ、何か違う??)






前述の友人は、94年のRoberto Baggioがそうだと言ってた。

顔つきがあの1ヶ月間だけ違っていたような気がした...と。








確かに...94年のW杯でサッカーにハマったと言う人の大半が

「キッカケはRoberto Baggio」だと言うのだから、それは多分正しい物の見方なのだろう。



最後のPK失敗まで...絵に描いたようなドラマみたいなRoberto Baggioの物語。

彼の悲しみに満ちた、グリーンの瞳に魅せられた人は、日本中にどれだけいたんだろうね。











でも、私にとっては4年前のW杯、参加した23人×32カ国、736人の選手の中で、

一番美しく目に映ったのは、紛れもなくMauricio Pochettinoその人だったのだ。

BeckhamよりもSanta Cruzよりも、宮本恒靖よりも、Pablo Aimarよりも、

Alessandro Del Pieroよりも、誰よりも、Mauricio Pochettinoが美しいと思った。









Roberto Baggioとは違って、日本で私1人だけだったかもしれないけれど...

でも、私にとって2002年Mauricioさんの物語は、Roberto Baggio以上に

哀しく切なく、そして美しいものだったんだ。だから...何年経っても決して忘れはしないのだろう。



















<オマケ>


今は亡きThe Long and Winding Loadの日記、『Futbolからの贈り物』より








■2002/06/09 (日) アルゼンチン-イングランド


まだ、決勝トーナメント進出が絶望となった訳じゃない。

アルゼンチンがR16へ進む可能性は大いにある。

でも私には、このイングランド戦の敗戦が、余りに堪えました。

なぜなら私には、アルゼンチンが1位抜けしなくてはならない理由があるから。



私の手許にあるチケット...長居のR8のチケット。

Fの1位抜けチームが勝ち進むとやってくる。


私は、信じて疑っていない。必ず、アルゼンチン代表を応援できると...

私は、信じて疑っていない。だから、アルゼンチン代表のユニを買った。

私は、信じて疑っていない。だから、そのユニにマーキングを頼んだ。


私が、胸と背中に入れたナンバーは4。

私が、背中に入れたネームはPochettino。


PSGへ行ってしまって以降、めっきりプレーを見る機会が減った大好きなぽちぇ。

南米予選の様子から、彼がスタメンを勝ち取る可能性は低いと思ってた。

でも...彼は国歌斉唱の時、BatiやVeronたちと一緒に、その列に加わっていた。



アルゼンチン-イングランド

この試合は、サッカーにあまり興味のない人にとっても注目に値する試合。

会社でも色んな人から、この試合について話しかけられた。



「どっちを応援するの?」


「もちろん、アルゼンチン!!」


「Beckhamは好きじゃないの??」


「Beckhamなんかよりも、もっと素敵な人がアルゼンチンにはいるよ」


「誰?Bati??」


「違う。#4の選手なの。DFでスタメンだから、見て下さいね!!!」






Mauricio Pochettino

彼のことをいつから好きなのか、明確には思い出せない。

でも、ずっとLigaを見てきて、Espanyolの試合を見てきて、

気付いた時には、私は彼のことが大好きになっていた。




ハッキリ言って地味で、派手さは全くない。整った顔立ちをしている割には、誰もそのことに触れない。

そのプレー振りも、彼の性格をあらわしてか、派手なことはしないが堅実だった。

しかし若手が多かったEspanyolにおいて、外国籍の選手でありながら(EUパスポートは所持)

ゲームキャプテンをつとめ、守備の要、チームの柱として頑張ってくれてた。

いつも、最後尾から味方を鼓舞する彼の姿を見るのが、私は大好きだった。



日本のマスコミにも、スペインのマスコミにも、

そして母国のマスコミにも取り上げられることは皆無と言っていい選手。

彼が唯一注目された時と言えば、それは西沢明訓がEspanyolへ移籍したとき。

でも...彼は入れ違うようにPSGへと去って行ってしまった。




アルゼンチン代表でも、DFの要はAyala。

彼は...あくまでNelson Vivasのバックアップでしかなかった。


そのVivasがケガでアルゼンチン代表から外れた。

彼には、スタメンのチャンスが回ってきた。

そして...あの日、札幌で彼はスタートからピッチに立った。




あの瞬間、彼はとっさに脚を引っ込めた。確かに、少しは触れたかもしれない。

でも、あんなに倒れるほど、引っかけた訳じゃない。




主審がペナルティースポットを指さす。

その瞬間、彼が見せた哀しい瞳が忘れられない。





スタジアムが湧いた。

#7をつけた端正な顔立ちの若者が、歓びを爆発させている。





誰も、彼を責めはしなかった。

一瞬、哀しげな瞳を見せた彼も、次の瞬間には、闘う瞳をしていた。

誰も何も言わない。もちろん、彼も何も言わない。

でも、私には見えた。その後の彼のプレーに、どれだけの思いが込められているかが...





後半、アルゼンチンの怒濤の攻め。

CKやFK等の度に、凄い形相でゴール前へ飛び込んでいた彼の姿を見ると、

心の内が何だか、見えるような気がした。



“Vivasがいればこんなことには...”

“Pochettinoじゃ力不足なんだよ!!!”


そう言ってる人間がいること、知ってる。それは仕方ないと思う。

だって...こうやって彼のせいにしてしまえば、楽だから...。

でも、多くの人たちは、ちゃんと判ってくれてる。

彼が、どれだけ精一杯のプレーを見せてくれたかを。

Mauricio Pochettinoは恥ずべきことは何もしてない。

むしろ、誇りに思えるほどに己が全てを賭けて闘ったのだ。




スウェーデン戦、きっとまた全力で闘ってくれるはず。

そして勝利をその手に...きっと、きっと...。




私は、長居で吉報を待っているから。

ナイジェリアを応援しながら、

君たちの勝利の報を待っているから...


!Vamos Argentina!

!Animo Mauricio!







La Ciudad Condal |MAILHomePage